とがブログ

本の紹介と、ぼくの興味があるテーマについて書きます。

相手を意識した行動

こんにちは。冨樫純です。

 


独学で、社会学を学んでいます。

 


そこから、個人的におもしろいと感じたところを引用し、感想を書きたいと思います。

 


タイトル 相手を意識した行動

 


ジェンダー構造を社会学の視点で読む

 


ジェンダー構造はどんなふうにつくられ、維持されているのだろうか。

 


まず、「方法論的個人主義」の立場である社会的行為論の視点から見てみよう。

 


私たちは、他者との関係のなかで自分の望む結果を求めるとき、多くの場合、自分の行為に対する相手の反応を予期しながら行為する。

 


つまり、相手がどう出るかを考えながら自分の 行 為性を決めているのだ。

 


他方で、相手のほうも、行為者がどう思っているかを考慮しながら行為をすることになる。

 


いいかえれば、両者ともに、自分の望む結果を求めつつ、自分の行為に対する相手の反応に依存しているのである。

 


「社会システム論」で有名なタルコット・パーソンズは、これをダブル・コンティンジェンシー (二重の相互依存)と呼んでいる。

 


しかし、互いの作用・反作用の結果、 両者ともに望ましい結果を得るためには、相互に補いあうような期待が両者ともに保持される必要がある。

 


逆にいえば、相互の判断がすれ違えば、両者の関

係はぎくしゃくするし、互いに期待した結果が得られないことにもなりかねない。

 


相互作用のなかで、両者がともに望ましい結果を獲得するには、両者間に共通のルールが必要になるのである。

 


こうしたルール=社会的な約束事による縛り(社会的規範)が、私たちの他者との関係を支配している。

 


なぜ、こうした約束事に従うのかといえば、それが他者との関係をスムーズに遂行させるからだ。

 


互いに了解しあっている(と考えている) ルールに従えば、他者との関係を維持しつつ、自分の期待した結果も確保しやすい。

 


男の役割・女の役割を固定化してきたジェンダー構造もまた、こうした社会的行為を「見通しよくさせる」という機能を果たしてきた。

 


しかし、この構造は人間の社会関係がつくりだしたものだ。逆にいえば、全体としての社会のあり方や歴史の変化に応じて変化しうるものでもあるということだ。

 


文化により男女の役割や「らしさ」が変化することはすでに説明した。この変化は歴史の展開に応じても生じる。

 


たとえば、狩猟社会の多くは(すべてではないが)、男が狩猟、女は採集という労働の分業がしばしば見られる。

 


農業社会は、(多くは男女の性別役割分業を維持しつつ) 基本的に、男女ともに重要な生産労働力である。

 


ところが、近代産業社会では、「男性は外で生産労働、女性は家事労働」という性別による分業が拡大する。

 


これまで分業と協働により生産労働と家庭の仕事を共同で担ってきた男女の労働の場が、「家庭外と家庭内」へとはっきり分かれるのだ。

 


感想

 


男の役割・女の役割を固定化してきたジェンダー構造もまた、こうした社会的行為を「見通しよくさせる」という機能を果たしてきたという箇所がおもしろいと思いました。

 


意図してか偶然なのかわかりませんが、上手くリンクしている感じはします。

 


下記の本を参考にしました 

 


ジェンダーで学ぶ社会学』  

 伊藤公雄 牟田和恵編著

 世界思想社

 

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