とがブログ

本の紹介と、ぼくの興味があるテーマについて書きます。

学校とジェンダー

こんにちは。冨樫純です。

 


独学で、社会学を学んでいます。

 


そこから、個人的におもしろいと感じたところを引用し、感想を書きたいと思います。

 


タイトル  「学校知」とジェンダー

 


学校は、社会で有用とされる知識や技能を身につけさせる場である。

 


そうした学校機能を前提として、学校で教えられるべきとされる知識は、特権的な地位を有している。

 


学校という権威によって正統化された知識、「学校知」におけるジェンダー・バイアスを見ていこう。

 


本の学校教育のフォーマルなレベルでのカリキュラムは、学年ごとの教科体系や教科内容、時間数を指示した学習指導要領として、国家単位で定められている。

 


1945年以前の学校教育は男女別学・別体系を基本とし、カリキュラムも性別で明確に異なっていた。

 


第二次世界大戦後には、複線型学校制度から単線型学校制度へと変化し、学習者の学年/年齢以外の属性とは無関係にカリキュラムが設定されることになった。

 


しかし、性別だけは例外としてあつかわれていく。

 

その代表例が家庭科という教科である。

 


第二次世界大戦後の教育改革において、男女がともに民主的な家庭建設のために学ぶ教科と位置づけられた家庭科は、高度経済成長期に中学校段階で「男子技術・女子家庭」と枝分かれし、高等学校段階では「女子のみ必修」教科として位置づけられていった経緯は、日本の学校教育を特徴づけるものとして知られている。

 


1985年の女性差別撤廃条約批准にともなって学習指導要領が改正されるまで、国家が定めたフォーマルなカリキュラム上、家庭科は女子向きの教科として位置づけられ、「女は家庭、男は仕事」という固定的な性別役割分業に向けて、子どもたちを社会化する機能を果たしていた。

 


家庭科の男女共修が全面実施されるのは1990年代であり、現在の成人世代のほとんどは何らかのかたちで男女別カリキュラムを体験している。

 


男女同一内容の教科についても、その教育内容をジェンダーの観点で洗い直すとさまざまな問題が見えてくる。

 


教科書は、教えられるべき教育内容を印刷物のかたちで具体化したものであり、日本の学校教育においては通常、授業運営上きわめて重要な位置を与えられている。

 


これまでおこなわれた教科書分析から、教科書はジェンダーに関して次のような特徴をもつことが明らかにされている。

 


まず第一には、教科書は圧倒的に男性優位の世界になっているということである。

 


編者や執筆者のほとんどは男性であるし、登場人物も女性より男性のほうが多い。

 


国語や道徳の教材の主人公や、社会や理科、算数の挿絵の登場人物など、ことごとく女性の数よりも男性のほうが多いのである。

 


女性の登場人物の少なさは、学習活動の、ひいては社会活動全般の主人公が男性であること、女性はその脇役的存在でしかないということを暗黙のうちに伝えている。

 


第二には、教科書はステレオタイプ化されたジェンダー・イメージに満ちているということである。

 


たとえば、国語教科書の登場人物の性格は、男性の場合、活発で活動的であるのに対して、女性はおとなしく、泣き虫といった設定が多い。

 


社会科や家庭科、生活科、道徳、英語などの教科では、女性が家事・育児で男性は仕事という性別役割分業を当然視する記述や挿絵が多く見られる。

 


男女の特性や役割についての固定的なイメージは、さりげなく教科書の世界にちりばめられている。

 


子どもたちは、文章を読みとる力や地理の知識、英語の文法などを学ぶと同時に、ジェンダー・イメージについても学びとっているのである。

 


学校で教えられるべき正統な知識を代表するという権威を帯びた教科書のなかで繰り返し表現されるジェンダー・イメージは、子どもたちに影響を与えずにはおかない。

 


「女/男は~すべき」と規範そのものをとりたてて明記するわけではないが、教科書のなかで当然視される、男性の優位性や固定的な性役割観は、知らず知らずのうちに子どもたちの意識に内面化されていくだろう。

 


こうした教科書の意図せざるメッセージは、フォーマルなカリキュラムのなかにひそんだ「かくされたカリキュラム (hidden curriculum)」(「かくれたカリキュラム」とも訳される)の一種である。

 


感想

 


小学生、中学生当時、知らず知らずのうちに刷り込まれていたようには感じていません。

 


子どもだったからかもしれませんが、それを意識したところで、どういう変化があるのかもよくわかりません。

 


下記の本を参考にしました 

 


ジェンダーで学ぶ社会学』  

 伊藤公雄 牟田和恵編著

 世界思想社

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