こんにちは。冨樫純です
独学で、社会学を学んでいます。
そこから、個人的におもしろいと感じたところを引用し、感想を書きたいと思います。
タイトル 就職難・賃金格差の実態
日本が、女性問題について、まだまだ十分な対応をとってこなかったということは、バブル経済崩壊後の不況での「女子学生の就職難」問題などでも明らかなことだろう。
1995年度の大阪大学の学生生活調査でも、「就職に対する不安」について、「ある」と回答したのは、男子学部学生が52.3%なのに対して、女子学部学生は76.1%である。
その背景には、女性に対して、まだまだ「(男に比べて) レベルが一段下の労働力」という企業の見方があるのだろうと思う。
女子学生の就職難を取り上げたNHKのニュースで、永野健日経連会長(当時)がインタビューを受けているのを見た。
そのときのやりとりが、ぼくにはすごく面白かった。
アナウンサーの「女子学生の就職難が話題になっていますが……」という質問に、永野さんは「そんなことはない。われわれ企業家というものは、能力で人を選ぶ。女子学生だからといって差別はしない」といった答えをした。
そこでアナウンサーは、さらに「でも、実際に女子学生は就職難なのですが」とつめよったら、永野さんはこう答えたのだ。「それは不況で、本来やめていくはずの女性たちがなかなかやめない。そのため女性のポストが減って就職難になるのでしょう」。
能力でしか判断しない〟という先の発言はどうなったのか、とお聞きしたいものだ。
男性と女性とでは異なる基準で判断することを“ダブルスタンダード"というが、永野さんのこの発言はまさにその典型である。
この〝二重の基準〟を自分がもっていることに気づかないという、多くの男性が陥りやすいワナにはまっているという点でも興味深い発言だった。
もっとわかりやすい例がある。
男女間の「平均賃金格差」だ。
男女別の賃金格差を見れば、日本の女性労働者のおかれている問題性がただちにわかるだろう。
ILOの製造業の労働者の平均賃金格差を見ると愕然とさせられる。
世界レベルで見ても、日本の女性の平均賃金があまりにも低いことがすぐに見てとれるからだ。
確かに、ここにはパートの労働者も含まれており、日本独自の103万円の壁(専業主婦などの場合、103万円以内の年収なら所得税は非課税で、さらに夫の給与への配偶者控除などの優遇がある)の問題なども影響を与えているといわれる。
しかし、全産業の女性労働者(フルタイムの場合)の平均賃金も、男性(フルタイム)の約6割くらいでしかない。
これを、他の国々の男女賃金格差と比較すると、その問題点がはっきり見てとれる。
欧米の諸国では、女性の平均賃金は、すでに男性の8割から9割といった段階にあるからだ。
さらに問題なのは、その格差の縮まり具合だ。
他の諸国は、その格差が確実に縮まりつつあるのに、日本のそれは、格差が縮まないのだ。
というより、格差は、70年代と比較すると拡大してさえいるのだ。
たとえば、パート労働者を含む日本の女性の平均賃金は、1978年には、男性100に対して58あった。
それが、80年代に入ると約50に広がり、そのまま縮まらないで現在にいたっているのである。
女性労働の問題を語る中で「同一労働同一賃金」という目標がある。
同じ仕事をしている人に同じ賃金を、というのはたいへんあたりまえのことだ。
しかし、残念ながら、日本の労働の現状は、この「同一労働同一賃金」が実現できないままなのである。
現在、西欧社会を中心に、経済の発達した諸国においては、「同一労働同一賃金」よりむしろ「同一価値労働同一賃金」を原則とする方向に向かっている「同一価値労働、同一賃金」とは、現状の男女による職種・職務による格差を是正するため、「同一労働」にこだわらず、同じ価値をもつ労働として評価されるものには同じ賃金を支払い、積極的に男女の賃金格差を縮めることを目指すこと)。
そのような国際的状況の中で、日本の現状というのは、かなり遅れているといわれてもしかたがない状態なのである。
こうした数字が国際的な統計として海外でも紹介されている。「日本は女性差別大国だ」と国際的に認知されることの意味を、企業社会の側も、もう少し考えた方がいいのではないだろうか。
感想
日本の企業は、まだまだこのような差別があると感じます。
下記の本を参考にしました
『男性学入門』
伊藤 公雄
作品社