とがブログ

本の紹介と、ぼくの興味があるテーマについて書きます。

若年労働者の2極化とは

こんにちは。冨樫純です。

 


独学で、社会学を学んでいます。

 


そこから、個人的に関心のある話題を取り上げて、紹介したいと思います。

 


感想も書きたいと思います。

 


話題  若年労働者の2極化とは

 


アレグリアとは仕事はできない』の作者・津村記久子は、この作品を書いた翌年(2009年)、「ポトスライムの舟」で芥川賞を受賞しますが、この「ポトスライムの舟」は前の職場をパワハラで辞めた女性ナガセが、時給800円のパート・タイマーとして工場で働き、年かけて契約社員にまで「昇進」(?)する話です。

 


この話は、ナガセがたまたま工場の休憩室でみたポスターで、NGOが主催する世界一周クルージングの費用163万円が、自分の工場勤めの年収と同じことに気づいて節約を始めるところから始まります。

 


もちろん年収163万円では貯金ができませんから、夜は友人の喫茶店を手伝ったり、自宅でデータ入力の内職をし、土日はパソコン教室の非常勤講師も務めています。

 


そして、いつの日か自分が栽培しているポトスライムを、アウトリガー・カヌーに乗ってパプアニューギニアの人々に配ることを夢見ているのですが……。

 


津村は1978年生まれですから、大学卒業時はバブル崩壊後の「超氷河期」でした。

 


芥川賞受賞当時、日中は2度めの土木関係のコンサルタント会社に勤めながら、帰宅後、一眠りした後、深夜から未明にかけて執筆活動に励んでいたようです。

 


津村は芥川賞受賞後のインタビューでこういっています。

 


同世代の女性の状況はいろいろですが、ひとつ言えることは、働いている人はだいたい1回は会社を辞めています。

 


私はパワハラに遭って最初の会社を辞めましたが、9ヵ月で辞められただけでもマシで、他の人は凄まじい量の仕事をさせられて、2.3年も経って辞めさせてもらったり、よほどいい大学を出た人でなければ理不尽なしわ寄せに遭うことが、私の世代ではたくさん起こったんです。

 


再就職するまでは、このまま何もしないことに慣れてしまわないか、次の職場では働けるだろうか、といった恐怖感で苦しい思いをしています。

『新刊ニュース』 2009年4月号

(Web http://wwwl.e-hon.ne.jp/content/sp_0031 i_tsumurakikuko.html)

 


長時間労働にストレス、パワハラそして離転職―若い世代が働き続けるのも大変です。

 


バブル経済崩壊後の長期不況による若者の非正規雇用(フリーター)やニートの増加が労働市場の問題として議論されていますが、その一方で正社員となれた人も、雇用が絞り込まれているせいで長時間労働を強いられている、これまた大問題です。

 


実際、「平成19年版 就業構造基本調査」(総務省統計局)によると、非正規労働者を中心に週35時間未満の短時間労働者が増える一方で、正規労働者では週60時間を越える長時間労働者が増大し、30代の男性を中心に正社員の「働きすぎ」が強まっています。熊沢誠(『若者が働くとき」ミネルヴァ書房)の表現を借りると、若年労働における「使い捨てられ」る非正規雇用と「燃えつき」る正規雇用の2極化が進行しているのです。

 


とくに、1990年代から2000年代にかけては、グローバル化したデフレ市場での競争に対応するための人件費の抑制、国内的には年功制によって人件費のかかるようになった団塊の世代の雇用維持などのため、新規学卒者の雇用を手控え、非

正規雇用化する流れが定着しました。

 


その結果、学卒後、少なからぬ若者が正規雇用されずに非正規雇用という不安定就労になるか、場合によっては非正規雇用と無業・失業との間を周流することになりました。

 


その一方で、絞り込まれた正規社員は、成果主義の導入にともなう過酷な競争に追い立てられ、

過労死スレスレの長時間労働を強いられた結果、離転職も増加し、若年労働市場は流動化の度合いを強めたのです。

 


こうして、今日の若年層は、競争的な階層社会で長時間労働を強いられる「アリ」と、その周辺で短時間労働・低賃金に甘んずる「キリギリス」へと2極化しているのです。

 


感想

 


最後の部分の2極化の話がおもしろかったです。

 

 

 

下記の本を参考にしました

 


『ライフイベントの社会学

   片瀬 一男著

 世界思想社