こんにちは。冨樫純です
独学で、社会学を学んでいます。
そこから、個人的におもしろいと感じたところを引用し、感想を書きたいと思います。
タイトル ヨーロッパの男性学
アメリカに対して、ヨーロッパ、とくにイギリスを中心に展開しはじめている男性学ないし男性研究においては、女性問題に対する開かれた方向性が、一般的により強く読みとれるように思われる。
また、理論的な抽象度も、「ヨーロッパ男性学」の方がより高度だという印象もある。
さらに、アメリカ合衆国における「男性学」ないし「男性運動」の主流派が問題を基本的に個人的な解決の方向(セラピー活動に代表されるように〝男性のアイデンティティの問題”が重要視され、また、男性の個々人の権利が主張される傾向で提案しているのに対して、ヨーロッパの「男性研究」には、資本主義の問題や階級問題など、社会や政治の文脈から問題提起する傾向が強いようだ。
つまり「親フェミニスト派」や「社会主義派」がより根強いということだ。
これは、社会運動をめぐる、欧米の間にある歴史的なスタイルの違いということに由来しているのかもしれない。
とくに、フェミニズムや性差別批判の運動が、社会問題とより親和的なヨーロッパの運動スタイルと、個人主義的な解放を求める傾向の強いアメリカの運動スタイルの違いということに起源があるのではないかとも思われる。
ちなみに、日本の「社会運動の社会学」の重鎮、塩原勉さんの指摘によれば、さまざまな運動についての分析をする場合、ヨーロッパでは、組織だった運動として「社会運動」という語が使用されてきたのに、アメリカ合衆国ではよりバラバラな個人の行動を出発点とする「集合行動」という用語が用いられてきたという。
そもそも「運動」というときの基盤が文化的に異なっているということなのだろう。
また、見方を変えれば、イギリスなどの男性学や男性研究が、まだまだ知識人のもので一般の男性運動の広がりが少ないのかもしれない。
つまり、アメリカ合衆国のように、広い裾野をもった実践的な男性運動が生まれていないがために、比較的抽象度の高い社会問題やフェミニズムと強く結びつきやすいともいえるからだ。
感想
アメリカとヨーロッパでは、国の歴史の違いがあるのか、やはり男性学にも影響があるようです。
下記の本を参考にしました
『男性学入門』
伊藤 公雄
作品社