とがブログ

本の紹介と、ぼくの興味があるテーマについて書きます。

男性学とは

こんにちは。冨樫純です。


男性学」についてのコラムを紹介します。


具体例に欠けているせいか、イメージしづらいと思いました。


例えば、「男らしさ」のコストとはどういうものだろうか。


近年、「男性学」と呼ばれる一連の研究が蓄積されてきている。


その名称のとおり、男性学は女性学やフェミニズムの問題提起や批判を受けた男性たちの側のリアクションとして起こってきた学問である。


女性学の登場は、「人間」という名のもとに実際は男性だけを対象とした議論がなされがちなことへの新たな視点の提起であったが、それを経験したあとでは、男性も単なる「人間」の研究としてはすまなくなり、男女間、男性間のなかでジェンダー化され権力関係のなかにおかれた存在としてとらえ直そうとする機運が高まってきたものである。


そこでは、「男らしさ」 というよりは 「男性性」という中立的な概念とその複数性が着目されており、階層による男性性の相違(中流階層では理知的、労働者階級では力強さが求められるなど)、さらには、女性のもつ男性性と男性のもつ女性性の対比などが議論されている。


男性学が提起してきた視点として、次の3つを整理することができる(多賀2006)。


① 男性特権の制度性


個々の男女間に限ればそうでないこともありうるとしても、集団としての男性が集団としての女性の犠牲のもとで制度的に保証された各種の特権、利益を享受している。


② 「男らしさ」のコスト


そのような特権、利益を享受するために、男性たちは自らにも抑圧的要素をもつ「男らしさ」の規範に従い、それを鼓舞する必要があるが、しだいにその鼓舞や威張りの態度のコストが高くつくようになってきている。


③男性内の差異と不平等


男性内にもさまざまな立場、位置があり、特権、利益を享受できる層もいれば、コストだけ払いそれに見合ったものを得られない層もいる。


近年、過労死や自殺が男性に多いこと、経済成長が望めないなか、責任と義務だけもたされることなど、「男らしさ」 のコストに関わる関心が高まっているが、揺らぎつつも男性優位の制度的な構造が温存されていることとの関係を押さえて議論していく必要もあろう。


下記の本を参考にしました


社会学

   新版 (New Liberal Arts Selection)

  長谷川 公一 他2名

  有斐閣