こんにちは。冨樫純です。
「ストレスとタイプA 性格」についてのコラムを紹介します。
一般的なイメージ通りだと思いましたが、心理学的な裏づけがあると、説得力が増しました。
フリードマンとローゼンマン(Friedman & Rosenman, 1959) は、タイプAと呼ばれる性格の人が心臓疾患になりやすいことを指摘している。
タイプA性格とは、自分が定めた目標を達成しようとする強い欲求をもち、人と競争することを好み、功名心が強く、つねに時間に追われながら多くのことをこなそうとする傾向のことである。
また、身体的・精神的に過敏であり、強い敵意や攻撃性を示し、大声で早口にしゃべる傾向がある。
これらの行動傾向のうち、基本的で重要なものは時間的切迫と焦燥、競争を伴う達成努力、敵意性と攻撃性である。
とりわけ、敵意性と心臓疾患との関連性が高いことが示唆されている。
瀬戸ほか(1997)は、日本においてもこのような傾向が見られるのかどうかを調べている。
彼らは、あらかじめ先行研究によって日本人の場合は欧米よりもタイプ A行動の発現率は低く,敵意性はより低く、仕事中心主義が顕著で、集団帰属的で職階層との関連性が高いことを指摘した。
これらのことを前提として、彼らは関連する既存の各種の尺度から90項目を収集し、一般社会人を対象とする日本的タイプA行動評定尺度を作成した。
この尺度は敵意行動因子、完璧主義因子、および日本的ワーカホリック因子の3因子各10項目合計30項目で構成されている。
この尺度では、完璧主義因子と心臓疾患との関係や、既存のA型傾向判別表、達成動機測定尺度、敵意尺度との有意な相関が示されている。
これらの3因子について、それぞれ5項目を取り上げて例示しておこう。
(1) 敵意行動
つい声をあらげてしまうことがある、職場や家庭で大声で怒鳴ることがある、イライラすると人やものにあたる、言い争いをよくする、怒鳴られたら怒鳴りかえす。
(2) 完璧主義
徹底的である、完璧にしないと気がすまない、責任感が強い、几帳面である、自分の仕事や行動に自信がもてる。
(3) 日本的ワーカホリック
仕事のためには自分の生活を犠牲にすることがある、休日も仕事をすることがある、仕事を家に持ち帰ってすることがある、愛社精神が強い、自分を抑えて公につくすようなことがある、頼まれると断れない。
タイプA行動傾向の形成要因としては、遺伝的要因、親の養育態度などの一次的要因と競争や攻撃・敵意、時間的切迫を促すような環境的・二次的要因が考えられる(山崎, 1995)。
これらの要因によってタイプ A 性格の人は、つね
にストレスに満ちた生活を送り、心臓疾患やうつ状態などに陥りやすいといえる。
下記の本を参考にしました
『心理学』新版
無藤 隆 他2名