こんにちは。冨樫純です。
独学で、社会学を学んでいます。
そこから、個人的に関心のある話題を取り上げて、紹介したいと思います。
感想も書きたいと思います。
話題 フラットな世界で「空気を読む」関係
今日のいじめに見られる特徴は、昨今の若者たちが友だち関係を紡いでいくときの特徴をそのまま反映したものである。
彼らのあいだでは、友だちのことを相方と呼ぶことが増えている。
これは、コンビを組む相棒のことを相方と呼ぶ漫才芸人を真似たものであり、芸人の世界を模した友だち関係を彼らが営んでいることを示唆している。
一般に、漫才コンビはボケ役とツッコミ役という相補的な関係から成り立っているが、若者たちも、相互に補完しあうようなキャラを演じ分けることで、互いの人間関係の秩序維持を図ろうとしている。
若者を中心に日本中で大流行している「空気読め」も、元来は漫才のボケ役に対してツッコミ役が使っていた言葉であり、TV 番組などを通じてそれが一般へと広まったものである。
これは、ツッコミ役がボケ役を批判するときに使用されるが、 もちろんその批判は本気でされているわけではなく、漫才を成立させるためのネタの一つにすぎない。
同様に、若者たちが使う「空気読め」も、決して本気で相手を指弾するものではない。
そのことで場の空気を乱してしまっては、自分のほうが空気の読めない存在となってしまうからで
ある。
「空気読め」と言われた相方のほうも、それに本気で反応して怒ってしまっては、それこそ空気を読めない存在だと自己証明しているようなものであるし、そもそも漫才は成立しなくなる。
それと同じく、若者たちも、自分たちだけで閉じられた人間関係を維持するために、かけあいのネタとして「空気読め」を使用しているにすぎない。
互いの相補的な関係を傷つけかねないような対立点は、むしろ顕在化しないように慎重に隠蔽されている。
彼らが求めているのは、予定調和的に秩序が保たれた摩擦のないフラットな関係なのである。
漫才コンビのボケ役とツッコミ役は、互いに相補的な関係にあり、ツッコミ役のほうが上位にあるというわけではない。
むしろじっさいの漫才コンビでは、ボケ役のほうが立役者であったりもするくらいで、両者のあいだに階層性が存在しているわけではない。
同じように、若者たちの人間関係においても、言葉づかいや立ち居振る舞い、はては身に着ける服装まで、グループのあいだでの「格の違い」は非常に気にされるが、いったんグループの内部に入ったなら、決して誰か特定の人物が優位に立ってはならない。
若者たちのあいだでは、上下関係の要素が本来はあったとしても、たとえばそれが怒りキャラと怒られキャラの関係に、あるいはいじりキャラといじられキャラの関係に置き換えられることで、両者の関係がフラット化される傾向にある。
彼らの求めるフラットさとは、単に相互の意見の対立が隠蔽された関係ではなく、さらに相互の立
場や配置からも差異が隠蔽された滑らかで均質な関係なのである。
感想
「空気を読む」のは、予定調和的に秩序が保たれた摩擦のないフラットな関係のためなのは納得できます。
個人的には、空気を読まない方がおもしろいので、好きです。
下記の本を参考にしました
『コミュニケーションの社会学』
長谷 正人 他1名
有斐閣アルマ