こんにちは。冨樫純です。
独学で、社会学を学んでいます。
そこから、個人的に関心のある話題を取り上げて、紹介したいと思います。
感想も書きたいと思います。
話題 制度のなかの絆
ブレインの議論でもう一つ重要な点は、制度と友情は必ずしも相反しない、ということだ。
彼は、友情を形成する機縁や儀式や契約がどうであれ、「友人間の誠実と愛情を強調しないような文化はどこにもない」と指摘する。
たとえばバンガ族にとって、友情とは「倫理によって裏打ちされた、平等で全く互酬的な関係」であり、「肉親愛よりもはるかに価値のあるもの」と信じられている。
だがこれは、彼らの友人関係が誕生日の近さだけを基準に作られていることを考えると、意外に思える。
なぜ彼らは、自分の意志で選んだわけでもない友人に対してそのような感情を抱けるのだろうか。
その理由は、バンガ族の社会生活を規定する血縁関係のほうが、はるかに不平等で冷酷な力をもっているからである。
つまり、親子や親類のあいだには多くの義務や利害が存在し、そのため財産目当ての「呪い」のかけあいも年中起こっているのだが、友人はそうした権利関係の外に置かれているのだ。
「近親は―異母兄弟や叔父、時には父親でさえも実にいまわしい妖術をしかけたとしてひんぱんに訴えられている」が、友人は「危険な力」をもたず、「自分を『食う』かもしれない人の範疇には属さない」だから彼らは死期が近づくと友人を呼んで、邪心を抱いていそうな親類を追い払ってもらうこともあるという。
つまりバンガ族の世界では、近親者はいつでも「敵」になる可能性があり、その深い不信が「友」をより理想的な存在にしているのである。
ブレインはこれを、「閉所恐怖症をひき起こしそうな親族関係の束縛から脱出するために友情が一役買っている」と巧みに表現する。
これこそ、バンガ族の人びとが友情を情熱的に求める理由である。
感想
近親者はいつでも「敵」になる可能性があるという考え方がおもしろいと思いました。
下記の本を参考にしました
『コミュニケーションの社会学』
長谷 正人 他1名
有斐閣アルマ