とがブログ

本の紹介と、ぼくの興味があるテーマについて書きます。

強力効果論が有力か

こんにちは。冨樫純です。

 


独学で、社会学を学んでいます。

 


そこから、個人的に関心のある話題を取り上げて、紹介したいと思います。

 


感想も書きたいと思います。

 


話題 強力効果論と限定効果

 


マス・コミュニケーションの「権力性」「プロパガンダ性」を研究した代表的なものとして、H. キャントリルの『火星からの侵入』キャントリル があげられるだろう。

 


この研究は、オーソン・ウェルズ制作のラジオドラマ『宇宙戦争』を聞いた聴取者たちが、それがじっさいの火星人襲来を中継する生放送であると勘違いしてパニックを引き起こしたという事件をその聴取者への事後的なインタビュー調査によって分析したものである。

 


同書が示したのは、たとえ荒唐無稽なフィクションであっても、巧みに臨時ニュースの形式を装って本当らしく放送すれば、多くの聴取者がその情報を事実と信じて行動してしまうという危険性だ。

 


このようにメディアの情報が、大衆の意識下に働きかけるプロパガンダ効果をもつことを強調する研究は、のちに強力効果説、弾丸理論、皮下注射説などと呼ばれるようになった。

 


こうした「強力効果説」に対してP.F.ラザースフェルドらは、マスコミュニケーションの情報は原子化された個人に直接に影響を与えるのではなく、伝統的な日常生活の対人関係に媒介されてはじめて影響を与えうるという「限定効果説」を主張した(「コミュニケーションの二段階の流れ」仮説ともいう)。

 


彼らは、1940年の大統領選挙における新聞、演説、雑誌、ラジオによるキャンペーンがどのような効果を人びとの投票行動に与えたかをインタビュー調査し、その結果として、人びとはメディア情報から直接に影響を受けたのではなく、家族や地域内の「オピニオン・リーダー」とのあいだで交わされた対人的コミュニケーションからパーソナルな影響を受けて投票したことを明らかにしたのだ。

 


つまり日常生活のなかの対人的な社会関係は決してメディア・コミュニケーションによって簡単に抑圧されるわけではないという主張である。

 


20世紀前半に提示された、こうしたマスコミュニケーション研究の成果は、互いに対立しあってはいるものの、メディアの普及が、それまでの伝統的な社会関係とは異なった、一般的で対等なコミュニケーションをもたらす民主主義的過程だと考えている点では共通している。

 


たしかにキャントリルとラザースフェルドはマスコミのプロパガンダ性を批判しているが、しかし(宇宙人襲来という) 災害情報をラジオ中継によって人びとに遍く知らしめること(パニックを防ぐなら権力者が情報を統制してもよかったはずだ)や、大統領候補者に関するさまざまな情報をメディアによって流すことが、民主主義的なコミュニケーションの空間を切り開いていくこと自体は疑っていなかったと思う。

 


そうやって誰もが平等に同じ情報を共有して、家族や地域の利害を超えた個々人の判断を下すことが民主主義の理想だと考えるからこそ、逆に彼らはそのメディア・コミュニケーションのプロパガンダ性の危険を問題にしたわけである。

 

 

 

感想

 


現代の日本で考えてみると、マスコミ特にテレビの影響は強いと思うので、強力効果論が当てはまると思いました。

 


下記の本を参考にしました

 


『コミュニケーションの社会学

 長谷 正人 他1名

 有斐閣アルマ