とがブログ

本の紹介と、ぼくの興味があるテーマについて書きます。

個性信仰と友人関係の閉塞

こんにちは。冨樫純です。

 


独学で、社会学を学んでいます。

 


そこから、個人的に関心のある話題を取り上げて、紹介したいと思います。

 


感想も書きたいと思います。

 


話題 個性信仰と友人関係の閉塞

 


近年では「個性の尊重」という価値観が社会全体に行きわたり、友人に対して素朴な感情移入を行なおうとしない人が増えたように見える。

 


とりわけ若者たちは下手な言動で互いの人格を傷つけないように、営業マンのようなあたりさわりのない友人関係を進んで形成するようになっていよう。

 


だが土井隆義によれば、その結果、いまの若者は友人コミュニケーションに対して楽しさや喜びを感じるどころか、緊張や不安を感じることが多くなっているという。

 


なにせ彼らは友人といるときでさえ、「薄氷を踏むような繊細さで相手の反応を察知しながら、自分の出方を決めていかなければならない緊張感で、ひとときも気が抜けないらしいのだから。

 


おそらく多くの若者も本音では、そんな緊迫した「空気」の読みあいより、もっと率直な形で友人とかかわりたいと思っているはずだ。

 


ただ、彼らは「個性の尊重」というイデオロギーに縛られているのでそうした自然な感情を表に出せず、余計な気苦労を抱えてしまっているのである。

 


つまりいまの社会には、「恋愛のことで頭が一杯」という理由だけでなく、自尊心を守ることで精一杯」という理由で、友人とのかかわりを嫌う人もかなりいるようなのだ。

 


私たちはまず後者のような人びとに対して、友人関係の積極的な価値を示してみよう。

 


当然その場合、カントのように「差異(尊敬)」という観点から友情の価値を説くことはまったく意味がないだろう。

 


そもそも彼らは「個性」信仰が強すぎるために、友人関係を必要以上に恐ろしいものと思いこんでしまっているのだから。

 


感想

 


空気を読んだり、本音を隠したりするのは、独りになるのを恐れているように感じます。

 


下記の本を参考にしました 

 


『コミュニケーションの社会学

 長谷 正人 他1名

 有斐閣アルマ