こんにちは。冨樫純です。
「大震災などによってどのような精神的・身体的反応が生じるのか」についてのコラムを紹介します。
イメージ通り、影響はあるようです。
また、生き残り症候群という罪悪感みたいなものも心理学的にあるようです。
日本におけるPTSD 研究のきっかけとなったのは、阪神淡路大震災(1995年1月17日)である。
兵頭・森野(1999)は、地震を経験した女子大学生について2回の調査(3月と 10月)によってその後の変化を調べている。
2回の調査に共通する調査項目は、①被災状況、②現在の状況、③被災時(後)の援助、④ボランティアへの参加、⑤精神的・身体的状態についてであった。2回目の調査項目には、⑥震災後の生活の変化、⑦震災後の考え方の変化が付加された。
尺度構成にあたっては、情動的側面(「不安で心細い感じ」など)、認知・思考的側面(「集中力が続かない」など)、行動的側面(「外出や社会的な活動を避ける」など)、身体的側面(「頭痛がする」など)について合計40項目が作成された。
これらの項目について、地震直後とその後(3月と10月)について「よくある」「たまにある」「ほとんどない」「まったくない」の4段階で回答させた(10月には9項目のみ調査)。
その結果、直後では「余震や物音に過敏に反応してしまう」「いつも揺れている感じ」など、かなりの項目(8項目)で50%を超える精神的・身体的症状の自覚が認められた。
しかし、2カ月後(3月)には、すべての項目で自覚率は 30% 以下に減少した。ただし、「自分の被害が小さかったような罪悪感」については、被害の大きかった人に限って、ほとんど減少は見られなかった。
これは「生き残り症候群」の兆候を示すものと解釈されている。
2ヵ月後(3月)、9カ月後(10月)での自覚率の変化は、3月から 10月にかけてほとんどの項目で自覚率が減少していないことである。
すなわち、最初の2カ月で多くの人の症状は消失するが、2割程度の人については症状が長引く可能性があるといえる。
阪神淡路大震災の後もさまざまな地震、津波、人命に関わる事件・事故が発生している。上記のような報告とは異なるが、冨永良喜は「災害・事件後の子どもの心理支援」(福永,2014)を著し、阪神淡路大震災、神戸児童連続殺傷事件、台風23号豪雨災害、インド洋大津波、中国・四川大地震、某市での小学生殺傷事件、東日本大震災によって生じた災害・事件後の子どもたちの反応と心理支援についてまとめている。
この本では、どのような災害・事件が起きたのか、その体験を受けた子どもたちはどのような反応を示したのか、それに対してどのような心理支援が行われたのかについて報告し、今後の災害・事件に対処するための心理支援モデルの構築を試みている。
下記の本を参考にしました
『心理学』新版
無藤 隆 他2名