とがブログ

本の紹介と、ぼくの興味があるテーマについて書きます。

デジタル・ネットワークによる新しい公共圏

こんにちは。冨樫純です。

 


独学で、社会学を学んでいます。

 


そこから、個人的に関心のある話題を取り上げて、紹介したいと思います。

 


感想も書きたいと思います。

 


話題 

 


デジタル・ネットワークによる新しい公共

 


情報化社会のなかでグローバル・コミュニティに属する若者もいます。

 


たとえば、インターネットを通じてボランティア活動に参加する若者たちです。

 


干川剛史(『公共圏とデジタル・ネットワーキング法律文化社)は、自身も参加した阪神・淡路大震災の救援におけるボランティア活動が、相互の情報交換だけでなく被災地内外の支援者との間で情報伝達の連携作りを欠いたことに加えて、震災当時(1995年)はインターネットなどを活用できる人が少なかったこともあり、情報収集・伝達をする「情報ボランティア活動」の必要性が理解されていなかった、といいます。

 


そして、この反省に立って、その後、日本海重油災害(97年)、東日本水害・高知豪雨水害・津山水害(98年)、さらには北海道の有珠山噴火災害(10年)、三宅島噴火災害(10年)などにおける災害救援デジタル・ネットワーキングにおいて、ホームページやメーリングリストなどを用いた情報ボランティア活動がどのように展開されてきたか詳細な検討を行っています。

 


また2011年の東日本大震災の際にも、こうしたIT技術とくにソーシャル・メディアを用いたさまざまなボランティア活動が行われたことは記憶に新しいかと思います。

 


加えてソーシャル・メディアは、その後の国会前での反原発デモや、さらには「アラブの春」といわれた中東の民主化運動への参加者だけでなく、2012年の尖閣諸島領有権をめぐる中国の暴動にまで利用されたとされます(津田大介「動員の革命」中公新書ラクレ)。

 


干川によると、ボランティア活動には「自発性 」自分で判断し、自己の責任で他者と関わること、の「公共性」自分とは直接、関係のない他者に貢献すること、「非営利性」経済的性、報酬を目的としないこと、という3つの特徴があるために、社会の多様なニーズに柔軟に対応しながら問題解決を図ることができるといいます。

 


そして、このようなボランティア活動をより実効的なものにするためには、デジタル・ネットワーキングによるボランティア活動の組織化が必要であるというのです。

 


とくに情報インフラの整備された社会においては、NPOなどによるデジタル・ネットワーキングは、多くの人々―とくに災害被災者のような社会的弱者など―に情報発信や社会参加の機会を提

供するからです。

 


こうした状況を踏まえて、干川は、デジタル・ネットワーキングが今日の情報インフラの整備をもとに、「新しい公共性(社会的諸領域の自律を前提とした相互媒介・協働の原理)」を実現するためには、「デジタル・デモクラシー」すなわちインターネットやメール等を利用した民主主義の促進・強化が必要であると結論づけています。

 


このように新しい情報技術は、単に親密圏におけるコミュニケーションの活発化だけではなく、新しい公共圏の創出のインフラとなることが期待される時代となったのです。

 


感想

 


確かに、インターネットは新しい公共圏をもたらしていると思いました。

 


下記の本を参考にしました

 


『ライフイベントの社会学

   片瀬 一男著

 世界思想社