とがブログ

本の紹介と、ぼくの興味があるテーマについて書きます。

報われない努力

こんにちは。冨樫純です。

 


独学で、社会学を学んでいます。

 


そこから、個人的に関心のある話題を取り上げて、紹介したいと思います。

 


感想も書きたいと思います。

 


話題  

 


正社員もつらいよ―報われない努力

 


これまで若年労働者に関してはフリーターやニートが注目されてきましたが、今述べたように、その対極にある、人数としては多い正規労働者の「働きすぎ」による「燃えつき」にも注視する必要があるでしょう。

 


この問題に関しては、従来、労働経済学者は、正社員における労働時間の量的増大に注目してきました(玄田有史『働く過剰』NTT出版森岡孝二『働きすぎの時代』岩波新書など)。

 


とくに就職超氷河期に幸い正規社員で入職した若者は、30代に入っても後輩がなかなか入ってこないので、「もっとも低い立場からそのキャリアを始め、今もそこに留まって」残業続きの日々です。

 


そして、この長時間労働がとりわけ努力と報酬の不均衡をもたらし、それがストレスを生んでいるのです(片瀬一男「中高年の労働条件とストレス」斎藤友里子・三隅一人編『現代の階層社会3流動化のなかの社会意識』東京大学出版会)。

 


この努力と報酬の不均衡―つまり一生懸命働いても報われない状態が、職業性ストレスに結びつ

くことは、心理学者J・ジーグリスト(Siegrist, Johannes, “Adverse Health Effects of High-Effort/Low-RewardConditions," Journal of Occupational Health Psychology. 1(1)) によっても指摘されています。

 


それによると、外在的な努力―仕事の要求度・責任・負担など、の外在的報酬―期待される経済的報酬としての所得、心理的報酬としての自己評価、およびキャリアに関する社会的報酬、個人的要因としての仕事へのオーバー・コミットメント、によってストレスの発生が説明される、

 


といいます。そして、高努力+ 低報酬という労働条件が仕事へのオーバー・コミットメント傾向という要因を媒介にしてストレスを生むと考えられています。

 


働いても働いても報われない高努力+低報酬という状況で、職務上の承認欲求や競争志向性が強いと認知上のみが生じ、評価されず報われないのは自分の努力が足りないからだと勘違いし、残業代も支払われない労働条件を甘受して、報酬に見合わない仕事へのオーバー・コミットメントが生じると、ストレスが累積されるのです。

 


報われないのは自分の努力が足りないのだ、だか

らもっと働かねば……そうすればきっと上司も認めてくれるに違いない―真面目な人ほどそう考えがちです。

 


感想

 


努力が必ず報われると考えるのは少し違うと思いました。

 


肩の力を抜いて、いい加減に考えることも必要だと思いました。

 


下記の本を参考にしました

 


『ライフイベントの社会学

   片瀬 一男著

 世界思想社