とがブログ

本の紹介と、ぼくの興味があるテーマについて書きます。

体罰は子どもに害があるか

こんにちは。冨樫純です。

 


体罰は子どもに害があるか」についてのコラムを紹介します。

 

 

 

特に虐待は、マスコミに報道されているように、マイナス面しかないと思いました。

 


親が子どもにしつけのために体罰を与えることは、子どもの発達に悪影響があるだろうか。

 


子どもの心身に直接に被害をもたらす虐待の類いは、それが繰り返されると、さまざまな問題を後々まで引き起こすことはわかっている。

 


しかし、しつけに必要な程度の体罰なら、虐待とは異なって、長期的な悪影響はなく、むしろ、きちんとした行動を身につけることができて、子どものためによいことかもしれない。

 


だがまた、多くの虐待は「しつけのための体罰」と称して生じているし、体罰と虐待との間に明確な区切り目があるわけではないともいえる。

 


発達心理学の実証的な研究から、この問題にある程度の答えを出すことができる。

 


以下、多くの研究(英語圏での88件の研究)を整理したガーショフ(Gershoff, 2002)の論文からその議論を紹介しよう。

 


体罰とここで呼んでいるのは、「身体的な力を使用するもので、子どもの行動の修正や統制を目的として、子どもに苦痛を与えようと意図しているが、危害を意図していないもの」である。

 


実際の調査では、叩く程度なら体罰だが、殴る・蹴るとなると虐待であろうといった判断になるので、あいまいさは残る。

 


結局は程度の問題になってしまう。

 


親の体罰は、子どもの望ましくない行動や経験と結びついている。体罰が多いと、子どもの道徳的内化が少なくなり、子どもの攻撃や非行・反社会的行動が増加し、親子関係の質が低下する。

 


そして、子どもの心の健康が低下し、身体的虐待の被害を受けることが増える。

 


大人になってからは、大人での攻撃や犯罪・反社会的行動が増加する。そして、大人としての心の健康が低下し、自分の子どもや配偶者を虐待する危険性が増加する。

 


体罰と結びつく唯一の望ましい行動は、体罰の直後に子どもが大人の言うことに従うことである。

 


とくに強い効果が見られるところは、直後に従うということと、しかしながら長い目では身体的虐待につながるという点である。

 


つまり、従来常識的にいわれている相対立する点が双方ともに確認されている。

 


体罰は直後のしつけには有効だが、長期的には親の体罰は虐待に発展する危険がある。

 


ただし、従順さを調べた5つの研究で、うち2つは従順さがかえって下がったということを(実際には弱い関連だが)見出しているので、直後のしつけにも有効でない場合もあるようだ。

 


さらに、道徳の内化と負のつながりがあるということは、長期的には、かえって親のしつけに反することになりやすいということを意味している。

 

 

 

下記の本を参考にしました

 


『心理学』新版

   無藤 隆 他2名

   有斐閣