とがブログ

本の紹介と、ぼくの興味があるテーマについて書きます。

心理学的暗記術

こんにちは。冨樫純です。

 


「暗記術」についてのコラムを紹介します。

 


受験生や資格試験の勉強をしている人にとっては参考になる話だと思いました。

 


一見すると神業のように見える記憶術も、種を明かせば、それぞれに合理的な方法が用いられている。

 


代表的な方法の種明かしをしてみよう。

 


(1) 数・文字変換法

 


これは、ランダムな数字の系列を覚える場合などによく用いられる方法である。

 


要するに、受験生が日本史の年号を言葉に変えて覚えたり(たとえば鎌倉幕府滅亡の年号(1333 年)を「一味さんざん」と覚えたり、√5(=2.2360679)を「富士山麓オオム鳴く」と覚えたりするのと同じ原理である。

 


記憶術の達人は、数を文字に変換する独自の方法を決め、迅速に数を文字に変換できるように反復練習しているのである。

 


(2) 物語連鎖法

 


これは、ランダムな言葉の列を覚える場合などに用いられる方法である。

 


たとえば、「椅子、本、灰皿、猫……」という言葉の列を覚える場合であれば、「椅子に座って本を読んでいました。すると灰皿が机から落ちて猫が鳴きました……」という具合に物語を作りながら覚えるのである。

 


この方法は (1) の数・文字変換法と組み合わせて用いられることが多い。

 


(3) 場所づけ法

 


これは、ローマの雄弁家キケロ(Cicero, M. T.)が演説の原稿を暗唱する際に用いた方法だといわれている。

 


この方法では、記銘項目を自分のよく見知っている場所のイメージと関係づけて覚える。

 


スピーチの原稿を覚える場合であれば、まずスピーチをいくつかの構成要素に分ける。

 


次に、それらの構成要素を、あらかじめ決められた場所(たとえば自分の家のなかの決められた場所)と結びつける。

 


たとえば、導入部は玄関、最初のエピソードは居間、ジョークは台所というように結びつけるのである。

 


そして実際にスピーチをする際には、頭のなかで家の様子を思い浮かべながら、それぞれの場所と結びつけられた構成要素を順々に思い出しながら話していくのである。

 


このようにすれば、話すつもりだった内容をうっかり忘れてしまう、というようなことは起こらないはずである。

 


下記の本を参考にしました

 


『心理学』新版

   無藤 隆 他2名

   有斐閣