とがブログ

本の紹介と、ぼくの興味があるテーマについて書きます。

心理学の源流

こんにちは。冨樫純です。

 


「心理学の源流」についてのコラムを紹介します。

 


着眼点によってさまざまな見解があることを学びました。

 

 

 

臨床心理学、教育心理学発達心理学社会心理学、性格心理学、生理心理学、認知心理学……などなど。

 

 

 

これらは日本でもすでに学会組織をもつ心理学

の主要な研究分野である。

 


このように現在の心理学は、基礎分野から応用分野まで、じつに多様な研究分野が発展している。

 


しかし、けっして最初からそうだったわけではない。

 


では、心理学が誕生したばかりの頃は、いったいどのような研究がなされていたのだろうか。

 


それを知るためには、心理学という新しい学問が誕生した19世紀の後半にまで遡る必要がある。

 


(1) ヴントの構成心理学

 


「心の科学」としての心理学の創始者はヴントだと見なされている。

 


それは、ヴントが1879年にドイツのライプチヒ大学で世界で最初に心理学の実験室を設けたからである。

 


ヴントはよく訓練された実験参加者に、自分自身の意識の内容を観察・報告させる内観法(introspection)と呼ばれる方法を用いて、厳密に統制された条件下での意識の分析を行った。

 


そして、意識の構成要素は純粋感覚と単純感情であり、それらの複合体として意識の成り立ちを説明できると考えた。

 


つまり、さまざまな物質の成り立ちを分子や原子の複合体として説明する自然科学(化学)の方法を、心理学にも適用しようとしたのである。

 


これは構成主義 (structural-ism)と呼ばれる考え方であり、このような考え方に基づくヴントの心理学は構成心理学と呼ばれている。

 


(2) 行動主義の心理学

 


意識は外部から観察することのできない主観的な

現象である。このため、アメリカの心理学者ワトソンは、意識を研究対象にするヴントの心理学を鋭く批判し、心理学が科学になるためには外部から客観的に観察できる「行動」を研究対象にするべきだと主張した。

 


この「心理学は行動を研究対象にするべきだ」という行動主義の主張は、その後、スキナー やハル らに受け継がれ、1910年代から1950年代にかけて、主として北アメリカで発展した。

 


(3) ゲシュタルト心理学

 


アメリカで行動主義が興隆し始めた頃、ドイツ

ではヴェルトハイマー、ケーラー、コフカらが、心理現象の全体性を重視し、心(意識)を構成要素の複合体だと考えるヴントの構成主義を批判した。

 


すなわち彼らは、心理現象全体がもつ特性はそれを構成する要素に還元することはできないので、1つのまとまりとしての全体をそのまま研究するべきだと主張した。

 


そのような1つのまとまりのことをドイツ語では形態ゲシュタルトという。

 


このため彼らが提唱する心理学は、ゲシュタルト心理学と呼ばれている。また、アメリカに亡命したレヴィンは、行動の場の理論を提唱し集団力学の創始者となった。

 


(4) 精神分析

 


ウィーンの精神科医であったフロイトは、人間の精神活動においては意識よりも無意識の方が重要な役割を果たしており、意識の分析をするだけでは人間の心を深く理解することはできないと考えた。

 


そこで彼は、自由連想夢分析などの方法によって無意識の世界を探るための精神分析を創始した。

 


彼の理論は当時の心理学者たちからは非科学的と批判されたが、今日では性格心理学や臨床心理学などの分野で重要な位置を占めている。

 


(5) 現象学的心理学

 


ディルタイやシュプランガーは、心理学が実験中心の自然科学的な方向へ進むことに反対し、人間の心を理解するためには、生きている人間の精神活動をありのままに追体験することによって了解しなければならないと主張した。

 


この了解心理学の立場は、実存主義心理学者のフランクルやビンスワンガー ら、さらには人間性心理学を唱えるマズローやロジャーズらにも影響を与えた。

 


こうした心理現象をありのままにとらえようとするアプローチは、現象学的心理学と総称されている。

 


下記の本を参考にしました

 


『心理学』新版

   無藤 隆 他2名

   有斐閣