とがブログ

本の紹介と、ぼくの興味があるテーマについて書きます。

犯罪被害者と刑事手続

こんにちは。冨樫純です。

 


「犯罪被害者と刑事手続をめぐる新たな動向」についてのコラムを紹介します。

 


犯罪被害者が注目され、法律の成立まで至った背景が知りたいと思いました。

 


2004(平成16)年に、犯罪被害者がその尊厳にふさわしい処遇を保障される権利を基本理念とする

犯罪被害者等基本法」が制定され、そこには、犯罪被害者やその遺族が刑事手続に適切に関与するための制度の整備や、犯罪被害に係る損害賠償請求について刑事手続との有機的な連関を図る制度の拡充等、必要な施策を講ずる国の責務が規定されていた。

 


これを受けて2007(平成19)年には、「犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事訴訟法等の一部を改正する法律」が成立し、①犯罪被害者等が刑事裁判に参加する制度(「被害者参加」制度)、②犯罪被害者等による損害賠償請求について刑事手続の成果を利用する制度、③刑事手続において犯罪被害者等の氏名等の情報を保護するための制度が新たに導入されるとともに、④刑事訴訟記録の閲覧・謄写の範囲を拡大する規定の整備等が行われた。

 


このうち①は、刑事訴訟手続の過程に、被害者が直接参加・関与する新規の制度であり、一定の犯罪の被害者やその遺族から刑事裁判手続への参加の申出がある場合、裁判所が相当と認めるときは、被害者等の参加を許すものとし、参加を許された「被害者参加人」やその委託を受けた弁護士は、原則として公判期日に傍聴席ではなく法廷内に在席し、一定の要件のもとで被告人に対する質問、情状に関する証人に対する尋問、事実または法律の適用について意見の陳述をすることができるとするものである。

 


すべての刑事訴訟手続関係者により、制度の趣旨に則した的確な運用がなされることが期待される。

 


なお、これらはいずれも刑事手続内またはこれに関連する制度や措置であるが、犯罪被害者等に対し配慮すべき事項はこれにとどまるものではない。

 


今後は、より広い観点から被害者の保護・救済を検討してゆくことが重要な課題となろう。

 


下記の本を参考にしました

 


『現代の裁判』第6版

   市川 正人 他2名

   有斐閣アルマ