こんにちは。冨樫純です。
本を紹介します。
①この本を選んだ理由
社会学の講義をしている動画にハマっていて、その先生が薦めていたので、読んでみようと思いました。
②こんな本です
『「原因と結果」の経済学』
データから真実を見抜く思考法
中室牧子 他1名
ビッグデータ時代の必須教養
「因果推論」の考えかたがわかる!
「メタボ健康を毎年受ければ、病気を早 期発見・治療ができ、長生きできる」。
そう言われて、違和感を覚える人はほと んどいないでしょう。
しかし、「健診を受けること」と「長生 きできること」は、同時に起こっている だけ(相関関係にすぎない)。
健診を受けた「から」、長生きできた(因果関係)のではないかもしれません。
この場合、いままでまったく健康診断を受けなかった人が、毎年受けるように なったとしても、長生きできるとは限りません。
実は、このことについてはすでに多くの 研究が行われており、人々に健診を受けさせるようにしても、死亡率は下がらな いことが示唆されています。
この本を読めば、2つのことがらが本当に 「原因と結果」の関係にあるのかどうか を正しく見抜けるようになり、身の回りにあふれる「もっともらしいが本当は間 違っている根拠のない通説」にだまされなくなります。
この「因果推論」の考え かたを、数式などを一切使わずに徹底的 にやさしく解説します。
③こんな言葉が印象に残りました
「認可保育所を増やしても母親の就業率は上がらない」
この問題に取り組んだのが、東京大学の朝井友紀子、一橋大学の神林龍、マクマスター大学の山口慎太郎である。
朝井らは、1990年から2010年にかけての、日本
ではの県別の保育所定員率と母親の就業率のデータを用いて、差の差分析を行った。
1つ目の差は、1990年から2010年にかけての各都道府県の母親の就業率の差であり、2つ目の差は、県別の保育所定員率が増加した都道府県(介入群)と、まったく、あるいはほとんど増加しなかった都道府県(対照群)の母親の就業率の差である。
この2つの「差」を取ることで、保育所定員率の増加が母親の就業率の増加に与える因果効果を
推定したのである。
朝井らの分析結果は、「保育所定員率と母親の就業率のあいだには因果関係を見出すことができない」という驚くべきものだった。
この理由として、認可保育所が、私的な保育サービス(祖父母やベビーシッター、あるいは認可外保育所など)を代替するだけになってしまった可能性が指摘されている。
もともと就業意欲の高かった女性は、こうした私的な保育サービスを利用しながら就業を継続していた。
そのため、認可保育所の定員の増加は、彼女たちに私的な保育サービスから公的な保育サービスへの乗り換えを促しただけで、これまで就業していなかった女性の就業を促したわけではなかった。
おそらく最も強い代替関係があったのは祖父母の育児であろう。厚生労働省の統計(2003年)によると、3歳の子どもの「ふだんの保育者」(複数回答可)は、保育所の保育士が27%であるのに対して、祖父母は38%にも上っており、特に母方の祖父母の割合が大きい。
この論文の著者の1人である山口は、認可保育所の整備が母親の就業に因果効果を持たなかったとしても、保育所が保育士のような専門的な知識や技能を持つプロフェッショナルの集団であることを考えれば、子どもの発達や健康にはプラスの影響がある可能性があると指摘している。
実際、過去の経済学の研究は、質の高い幼児教育の投資リターンが極めて大きいことを明らかにしているものが多い。
この意味では、山口も指摘するように、認可保育所の整備は、母親の就業のためというよりは、子どものよりよい将来のためと位置づけるほうが適当なのかもしれない。
(本文より引用)
④この本が気になった方への2冊はこちら
「データ分析の力 因果関係に迫る思考法」
伊藤 公一朗著
『計量経済学の第一歩』
実証分析のススメ
田中 隆一
有斐閣ストゥディア
⑤ 感想
今まで、原因と結果をいかにいい加減に使っていたことを思い知らされました。
だからかもしれませんが、面白かったです。
さらに勉強したくなりました。
興味を持ってくれた方はいるでしょうか?
興味を持った方は、是非読んでみてください。