こんにちは。冨樫純です。
「マスメディアに対する誤解」についてのコラムを紹介します。
マスコミの報道は、個人的には、話半分で丁度いいと思っています。
テレビも新聞も利益を求める一企業なので。
マスメディアの「マス」が不特定多数の人々を指すのだとすると、不特定多数に届くメディアであるがゆえの特徴は公開性・大衆性・遍在性である。
テレビや新聞はその代表である。
またそうした特徴のゆえにマスメディアは人々
の生活に大きな影響力をもっていると考えられてきた。
マスメディアの影響力を強調する議論に対抗する1つの視点は、マスメディアは単に現実に起こったことを伝えているだけだというものである。
例えば、小泉政権が圧勝したのも首相の言動を単に伝えたにすぎず、本当に力のあったのは報道ではなくて小泉自身だ、また自民党政治の行き詰まり自体が鳩山政権をもたらしたのだ、と議論される。
マスメディアの研究はこれら矛盾する論点をどう解き明かしているのだろうか。
上でみたマスメディアの影響力についての議論には、社会心理学の視点からみると、問題がある。
影響力を強調する議論では、マスメディアが説得者であり、視聴者に対して説得力をもっている、と前提している。
また、マスメディアの報道の中に特定の方向に人々を導こうとする意図があるかのようにみなしている。
一方その反論では、マスメディアが現実のできごとをあたかも鏡に映すように転写して報道しているように想定している。
いずれも誤りである。
第1に、報道は基本的に説得コミュニケーションではない。
また後にみるように、マスメディアのもつ戦略的中立性のゆえに、「マス」をターゲットにする限り誘導の意図はマスメディアの基本的な報道姿勢に反する。
第2に、報道は基本的に現実の鏡ではない。
取材できた内容さえ、取捨選択して(数)十分の一にまで削り、さらに編集を経て、できごとを系統立てて首尾一貫しているようにみえるようにまとめたものが報道である。
それはマスメディアの側からみえる現実の再構成物なのであって、現実以上に強調された部分もあれば、みえなくなった部分もある。
誤ったバイアスを持ちこむことさえある。
では、マスメディアをどうみればよいのか、と問い返されそうである。
実はマスメディアの研究の歴史も、同じことを模索し続けた歴史にほかならない。
下記の本を参考にしました
『社会心理学』
池田 謙一 他2名