こんにちは。冨樫純です。
「ベビー・トーク」についてのコラムを紹介します。
赤ちゃんに話しかける時、赤ちゃん言葉を使うことが多いと思いますが、なぜなのかという疑問は残りました。
コミュニケーションに際して、相手の立場や知識などへの配慮が過度に行われた場合には、かえって望ましくない結果に至ることもある。
たとえば、自分よりも地位の低い人や、知的な面で劣ると考える相手には、幼児を相手にしたような話し方が用いられやすい。
これは、短めの表現で、ゆっくりと、声の調子はやや高く、理解しやすそうな語彙を多めに使って、繰り返しを用いながら話すといったもので、要するに「ベビー・トーク」である。
また英語の場合には、命令文など相手をコントロールするような表現が多用される。
こうした口調が問題となるのは、それが幼児でもない相手に用いられるからである。
たとえば、高齢者や知的障がいのある人、あるいは外国人に対しても、同様のコミュニケーション様式がとられる(DePaulo & Coleman,1986)。
ときには、目の不自由な人に対して話すのに大声になるといった、見当はずれの行動まで起こる(Ferguson, 1979)。
こうした話法は、何も低い地位の人を見下したときにだけ現れるわけではなく、恋人同士など、親密な関係でもたびたび用いられるので、一概に「差別的」だと断定できない難しさがある。
使っている本人たちにすれば「単なる親近感の表れだ」という意識かもしれないが、ここでも、「ステレオタイプ内容モデル」が主張するような、偏見の次元のすり替えが起こっている可能性がある。
下記の本を参考にしました
『社会心理学』
池田 謙一 他2名