こんにちは。冨樫純です。
「潜在的態度の測定方法」についてのコラムを紹介します。
潜在的態度を測定できることに驚きました。
知らず知らずのうちに、偏見みたいなものを擦り込まれているかも知れないと考えると、少し恐ろしさを感じます。
社会的態度を測定する道具として最もよく知られているのが、世論調査や「アンケート」調査に用いられる質問形式の尺度だろう。
呈示された文言に「非常に賛成」「反対」「どちらともいえない」などの回答を行うというもので
ある。
この種の「顕在的指標」 (explicit measure)の問題点としては、回答者が意識しながら自分の反応を制御できるので、社会的望ましさなどの影響を受けやすいことが指摘される。
たとえば、少数者に対する偏見を態度尺度によっ
て測ろうとしても、差別主義者だとみられたくないため、わざと好意的な回答をする人がいるかもしれない。
また、自己評価を高く表明すること、あるいは
逆に低く表明することが望ましいとされる文化では、それぞれ異なる方向に偏った回答が得られやすくなるだろう。
そこで、回答者自身の意図的な制御を許さないような、そして本人も意識できないような態度の側面、つまり潜在的態度(implicit attitude)を測定する方法が考案されるようになった。
その代表例が、グリーンワルドらによる潜在的連合テスト (Implicit Association Test;IAT)である(Greenwald et al,1998)。
図は、アメリカなどで黒人に対する潜在的態度を測定する場合の例である。
コンピュータ画面の下方にある+の位置に、ランダムな順序で多数の単語や顔写真が次々に呈示される。
顔写真が黒人だと思ったら左手で、白人ならば右手でキーを押して反応することが求められる。
これに混ざって呈示される単語が、良い意味をもつときは左手、悪い意味ならば右手で反応する。
この課題は、回答者が黒人に対してネガティブな態度をもっているほど難しい課題となる。
なぜなら「黒人=悪い」という連合のために、あ
るときは左手で(黒人の顔写真)、他のときは右手で(悪い意味の単語)反応することが葛藤を起こすからである。
黒人にも悪い意味の単語にも同じ左手で反応するシリーズでは、偏見が強いほど容易な課題とな
るだろう。
しかし黒人に対する偏見がまったくない人にとっては、どちらでも難易度は変わらない。
そこで、両シリーズ間で黒人に対する反応時間の差をとれば、それが偏見に関する潜在的な指標となる。
このような反応は本人の意志の力で制御しようとしても、なかなか簡単にはいかない。
つまり、統制的過程ではなく自動的過程に支配された態度の側面を反映しているといえる。
下記の本を参考にしました
『社会心理学』
池田 謙一 他2名