とがブログ

本の紹介と、ぼくの興味があるテーマについて書きます。

「サクラ」はここからきている?

こんにちは。冨樫純です。

 


「 実験協力者の役割」についてのコラムを紹介します。

 


サクラという言葉はここからきていると感じました。

 


社会心理学の実験では、実験参加者のふりをして実験に参加するが、実は実験者の計画に基づいて行動をとる役割を担う人物がいる場合がある。

 


この人物を実験協力者とよぶ(サクラと言い表されていたこともあったが、近年ではこの呼称は使われなくなってきている)。

 


実験協力者が用いられる実験では、その行動によって実験の独立変数を操作していることが多い。

 


たとえば、とりあげたチャートランドとバージの実験(Chartrand & Bargh, 1999)では、自分の行動が模倣されることで相手に好意を抱くという仮説を検討するために、実験協力者に実験参加者の行動を模倣させる条件と、模倣させない条件を設けている。

 


ちなみに実験協力者の数は、1人とは限らず、ア

ッシュの同調実験のように大勢の実験協力者に対して参加者はたった1人という場合もある。

 


社会心理学の実験研究では、他者の発言や行動に対する反応や行動を検討する場合、あるいは、2者(またはそれ以上の人数)の相互作用における人々の認知や反応、行動を検討することが多くある。

 


しかし、特定の言動に対する反応を見るためには、その言動は完全に統制されていなくてはならない。

 


たとえば、チャートランドとバージの実験では、実験協力者の行動は、実験参加者の行動を模倣するかどうかという点のみが条件間で異なり、それ以外の部分は同じになるようにしなくてはならない。

 


また、チャートランドとバージの例のように、1回の実験には1人の実験参加者しか参加できないことが多く、十分なデータを得るためには何十回と実験を繰り返さなければならないが、条件を一定にするために、実験協力者は毎回同じように行動する必要もある。

 


つまり、実験協力者とは、実験者の計画に基づいて指示どおりの行動ができるよう、訓練された存在なのである。

 


他者と相互作用する場面を実験参加者に想像させ、そのときの自分の反応や行動を想像して回答を求めることはできるが、場面を想像して回答したことと、実際にその状況に身をおいたときに人々がみせる反応には隔たりがある(沼崎・工藤,2003)。

 


そのため、真の反応を知るためには、実際に実験の中で他者に接する経験が必要であり、実験協力者は社会心理学の実験研究においてきわめて重要な存在なのである。

 


下記の本を参考にしました


社会心理学』 

 池田 謙一 他2名

 有斐閣