こんにちは。冨樫純です。
「 実験結果の読み方」についてのコラムを紹介します。
「有意な差(有意差)」という概念があることを初めて知りました。
なるほどなと思いました。
社会心理学における実験研究は、独立変数を操作し、従属変数を測定し、独立変数が従属変数に与える効果を検討する形をとる。
たとえば、ケリーの実験では事前に与える情報が独立変数として操作されていた。
そして、「温かい」という情報と「冷たい」という情報を与えられた2つの条件を比較し、それぞれの条件によって従属変数である、臨時講師に対する印象がどう異なるかを検討している。
これは実験のデザインとしては、最も単純な形である。
しかし、通常このような単純なデザインの実験は少なく、複数の独立変数が操作され、その組み合わせの効果が検討されることが一般的である。
ボーデンハウゼンらの実験を例にとると、この実験では導入された気分と暴力行為をした学生の名前という2つの独立変数が、それぞれ、ポジティブな気分かニュートラルな気分か、そしてヒスパニック系の名前かそうでないかの2つの水準で操作されていた。
このような実験のデザインは2つの独立変数が組み合わさることで、片方の独立変数の効果が異なることを示そうとする場合に用いられる。
つまり、この場合は、名前がヒスパニック系かどうかということは、ポジティブ気分と組み合わさった場合には罪の評価に影響するが、ニュートラル気分と組み合わさった場合には罪の評価に影響しないことを示そうとしているのである。
原理的には独立変数の組み合わせに制限はないが、仮説が複雑になり説明が困難になるため、3つを超えた独立変数が組み合わせられることはまれである。
この実験では、ポジティブ気分においては、ヒスパニック系の名前のほうがそうでない名前の場合よりも罪が重いと評定されたと説明した。
これは、言い換えると、ポジティブ気分のときには、ヒスパニック系の名前の場合の罪の評価とそうでない名前の場合の罪の評価の間に「差」があったということである。
実験結果の説明において「差」があったと書かれている場合は、専門的にいえば「有意(統計的に意味のある)」な「差」があったということを意味する。
「有意な差(有意差)」とは、同じ実験を繰り返せば同じ方向の「差」が生じる可能性が十分に高い(つまり、実験で示された「差」が確かな結果であ
る)ことを意味している。
有意な差があるかどうかは統計的検定とよばれる方法に基づいて判断される。
逆に、条件の間に差があるようにみえても、その条件間に差がないと説明される場合もある。
その場合は、その差は有意な差ではないということである。たとえば、晴天と雨天のグラフの高さにはわずかな違いがみてとれるが、この間には有意な差はない。
したがって、この条件での晴天と雨天での生活満足度に違いがなかったということになる。
統計的検定についての説明は省略されているが、実験研究だけでなく、調査研究においても統計的分析によって明らかになった有意な効果に基づいて研究結果を説明している。
下記の本を参考にしました
『社会心理学』
池田 謙一 他2名