こんにちは。冨樫純です。
「錯覚の中の集団規範」についてのコラムを紹介します。
おもしろいと思いました。
判断の基準があいまいな場合ほど、規範の影響力を受けるそうです。
判断に迷うと、他の人の様子を見ながらというのは誰しも経験したことがあること思います。
他人に贈り物をしようするときなど、どれくらいの金額が適切なのか迷ってしまうことがある。
ときには冠婚葬祭のルールを記した本などが、「相場」を教えてくれることもある。
この例にみられるように、判断や行動の基準として「社会的規範」を知ることが重要になる場面がある。
判断の基準があいまいな場合ほど、規範の影響力は大きくなるだろう。
この種の規範が形成される過程を例証したのが、シェリフによる古典的研究である(Sherif, 1935)。
この実験では、「光点の自動運動」とよばれる現象が利用された。
暗室の中で静止した光点を見ていると、やがてこれが動いているような錯覚を覚えるようになる。
実際には自分の眼球が動いているのだが、視覚の手がかりとなる壁や天井が見えないため、光点のほうが動いているように感じるのである。
シェリフは、実験参加者に、光点が何インチ動いたと思うかを、一定の時間ごとに繰り返し尋ねた。
錯覚なのだから、もちろん推定値は個人差のせいで大きくばらつく。
ところが、2人あるいは3人で実験に参加する
と、他の人の判断を参考にするため、各人の回答がある1点に収斂してくる。
さらに興味深いことに、集団のメンバーを入れ替えてみると、新しく加わった者もただちに集団の基準を採用して判断し始める。
これを繰り返すと、結局は「第1世代」で偶然できあがった基準が独り歩きして残り、人が入れ替わっても判断値だけが後の「世代」にまで伝えられる。
下記の本を参考にしました
『社会心理学』
池田 謙一 他2名