とがブログ

本の紹介と、ぼくの興味があるテーマについて書きます。

いじめと法律

こんにちは。冨樫純です。


ある質問や疑問に答える形式で、解決の参考になりそうなことを書いていきます。


法律的なものです。


質問の内容は、主に女性目線からものです。


質問


弟は中学2年生ですが、入学直後から同級生数人による陰湿ないじめを受け、お金を脅し取られたり、けがをさせられたりで、とうとう学校へ行かなくなってしまいましたいったい。


どうしたらよいのでしょうか。


解答


いじめの被害にあったら、 まず担任の先生や相手方生徒の両親にきちんと話をして、どうしたらよいか相談することが大切でしょう。


担任の教師や相手方の父母がきちんと対応してくれない場合は、校長や副校長など管理者に伝えるべきです。


場合によっては教育委員会児童相談所に出かけることも必要です。


それでも迅速で適切な対応がされないときは、弁護士会や法務局の人権擁護委員会などに人権侵害として申立てをするほうがよいでしょう。


時間がかかればかかるほど、いじめは陰湿なものとなり、エスカレートします。


中学生であってもお金を脅し取ったりすれば恐喝罪、殴る蹴るの乱暴を働けば暴行罪、その結果身体にけがをさせれば傷害罪などの犯罪になりますから、このような悪質な行為に対して警察や検察庁に告訴することも検討すべきです。


悪質ないじめは立派な犯罪であり、絶対に許されないことです。


賠償の責任を問うことも可能です。


公立の中学校の場合には、教師や校長に職務上の不法行為があったとして、国や地方自治体 (市町村)に国家賠償を求めることになりますし、私立中学校の場合には学校法人との在学契約上の安全配慮義務の違反、不法行為の損害賠償請求が可能です。


そのいずれの場合も、学校教育では、心身ともに未成熟の児童 生徒が対象になっていますから、教師や学校側には子どもの安全を保護し、教育指導に努める特別の注意義務が課されます。

 


子どもの適切な指導監督を怠って深刻ないじめの対策もせず、放置し、重大な被害を発生させた場合には、教師、 学校に指導監督上の重大な過失があったといわざるをえません。


また、加害生徒の両親も親権者として、子どもを指導監督する責任を負っています。


小学生くらいまでの子どもが悪質ないじめをしたときは、子ども自身に責任を負担する能力がないので、両親が監督義務者として賠償責任を負うことになります (民法714 条)。


したがって、いじめをした児童生徒の両親も、子どものいじめを防止するよう監督の義務を怠っていた過失がある場合には、不法行為の損害賠償の責任を負うことになるでしょう(同 709 条· 719条)。


区立中学校2年生の男子が同級生グループの執拗で陰湿緑ないじめを受け、「このままじゃ『生きジゴク』になっちゃうよ」という遺書を残して自殺したケースで、加害生徒の父母および担任の教師たちには、生徒間のいじめ防止のため適切な措置をとらなかった過失があったが、被害を受けた生徒が自殺することについての予見可能性はないと判断され、父母および学校側には、いじめによる肉体的精神的苦痛への慰謝料1000万円、弁護士費用150万円の支払が命じられたケースがあります (東京高裁1994·5·20 判決)。


また同級生による執物で陰湿ないじめを受け自殺した、中学3年生の両親が学校を設置する市などを訴えたところ、いじめと自殺との因果関係を否定したケースもあり (東京高裁 2007 3·28 判決)、いじめ自殺が続発するなかで、厳しい内容となっています。


下記の本を参考にしました


『ライフステージと法 』

  副田 隆重 他2名

  有斐閣アルマ