とがブログ

本の紹介と、ぼくの興味があるテーマについて書きます。

きれいに住めば、敷金が戻ってくる?

こんにちは。冨樫純です。


ある質問や疑問に答える形式で、解決の参考になりそうなことを書いていきます。


法律的なものです。


質問の内容は、主に女性目線からものです。


質問

 

新築のマンションに2年間入居し、今回よそに引っ越しました。


きれいに住んだから敷金が戻ってくるはずと思っていたら、返金どころか不動産業者から請求書!


文句をいったら、契約書に「退去時には借主は原状に回復して返還する」と書いてある。


「畳や壁紙の交換費用をもつのはあたりまえ」と反論されました。


どこにも焦げ跡やキズはないのに、新品に交換する必要なんかないわ。 絶対、納得できない!


解答


最近きわめて多いのが、こうした退去時の敷金の精算をめぐるトラブルです。


不動産業者のいうように、借主は退去時に元の状態に戻す義務を負っています。


しかし、借主の不注意で汚したり壊したり焦げ跡などをつけた場合に、それらを借主側の負担で直したり交換する義務はあっても、年数の経過や通常の使用による畳や壁紙の日焼け、色あせなど(自然損耗といいます) については、借主の原状回復義務の範囲に含まれません。


というのは、賃貸借という契約では、家主は、2年とか3年という期間にわたって建物を使用させる義務を負っているわけですから、その期間の経過自体による自然損耗は当然家賃の中に入っていると考えられるからです。


したがって、設問の場合、実際に借主による傷や汚損がなければ、家主、不動産業者の主張はその限りで過大な請求といえますから、家主は、敷金の全額を返還する義務を負います。


こうしたトラブルを避けるために、自然の損耗については借主は原状回復義務を負わないことを認識した上で、室内の各設備の状況(キズや汚れがあるかどうか、各種器具が正常に機能するかどうかなど) を入居時に家主または不動産業者との間でいちいち点検チェック (たとえば写真をとる)しておく必要があります。


そうしないと、中古物件の場合、入居前からの傷についても原状回復の費用を請求されかねません。


下記の本を参考にしました


『ライフステージと法 』

  副田 隆重 他2名

  有斐閣アルマ