とがブログ

本の紹介と、ぼくの興味があるテーマについて書きます。

損害賠償とは

こんにちは。冨樫純です。


ある質問や疑問に答える形式で、解決の参考になりそうなことを書いていきます。


法律的なものです。


質問の内容は、主に女性目線からものです。


質問


事故により損害を受けた場合、事故の原因をつくった人や加害者から、必ず損害賠償してもらえますか?


交通事故、欠陥商品の被害など、事故のタイプによって何か違いがあるのでしょうか?


解答


損害賠償の基本的なルールは、他人に損害を与えた者は、事故発生について故意または過失がある場合に限り、その損害を弁償する義務がある、というものです。

 

これを不法行為責任(民法709 条) といいますが、以下の点に注意して下さい。


故意とは「わざと」ということですが、ケースとしては少ないでしょう。


これに対して, 過失とは 「不注意で」ということで、その状況の下で一般的に要求される注意義務を怠ったことをいいます。


たとえば、実際のケースで示せば、住宅街の裏通りを車で進行中に、前方の路上で子どもが遊んでいるのに気づいたとしましょう。


この場合、一般に運転者としては、子どもが遊びに夢中で自動車に気づかないことも考えられるから、警笛をならすなどして車の接近を知らせ、子どもが退避したことを確認してから徐行して通りすぎるなどの安全確認の措置をとるべき注意義務があるとされます。


にもかかわらず、その運転者が警笛もならさず、徐行もせず、子どもの退避も確認せずに漫然と車を走行させ、子どもと接触したならば、そうした注意義務を怠った過失があるということになります。


故意も過失もなければ、現に被害や損害が生じていても賠償義務はありません。


賠償しなければならないのは、加書者に落ち度があるからで、「被害者がかわいそう」だからではありません。


なお、幼児や小学生自身がいわば加害者であるような場合(たとえば、狭い路地でサッカーをしていて隣家の窓ガラスを割った場合) 、これらの者に自分の行為の結果としての責任を判断する能力 (責任能力といい、だいたい小学校卒業性度の能力が必要とされます) がないため、本人自身は不法行為資任を負わず、その者を監督すべき立場の者(たとえば、親)が責任を負います。


監督責任を追及するためには、加書者に過失があること、および、その過失が原因となって事故、損害が発生したこと (因果関係)が必要であり、また、この過失や因果関係の存在について争いがあれば、被害者が証明しなければなりません。


損害というのは、財産などに対する損害 (物損)、生命·身体に対する損害(人損) の双方を含みます。


一般に、損害の費目に応じて積算をし、その全体が損害となります。


たとえば、乱暴運転のトラックに接触され、被害者の乗っていた自転車は大破し、被害者は2ヵ月入院したとしましょう。


この場合、治療費、入院費用、物損(大破した自転車など物の損害)など、事故のために出費を余儀なくされた損害 (積極損害)、休業損害や逸失利益 のような事故にあわなかったとすれば得ていたであろう利益を喪失した損害(消極損害)、さらに、事故により受けた傷や後遺症に伴う精神的な苦痛という損害(その賠償を慰謝料といいます)の3つの合計が損害となります (後述の過失相殺がない限り、 この金額が賠償の対象となります)。


積極損害(治療費、入院費、物損、葬儀費用、弁護士費用)+消極損害(休業損害、逸失利益)+ 精神的損害(慰謝料)=損害全体


このように不法行為を理由に損害の賠償を求めるためには、加害者側の過失や因果関係が認められることが必要ですが、さらに、これらの点について当事者間で争いがある (たとえば、事故発生は被害者の信号無視によるものだとか、車体のこのキズは前からあったもので、事故とは無関係だとか) 場合には、被害者の側で証明をしなければなりません。


したがって、人身事故の場合はもちろん、物損事故の場合でも警察官に報告し、事故の状況や損害の状況など正確に把握し、後から確認できるようにしておく必要があります。


下記の本を参考にしました


『ライフステージと法 』

  副田 隆重 他2名

  有斐閣アルマ