とがブログ

本の紹介と、ぼくの興味があるテーマについて書きます。

製造物責任問題

こんにちは。冨樫純です。


製造物責任」についてのコラムを紹介します。


確かに、欠陥があった場合、なんでもかんでも製造者の責任というのは違和感があると思いました。


医薬品の副作用や食品に毒物が混入していて健康被害が生じた場合(スモン事件、森永ヒ素ミルク事件など)や、テレビからの発火によって建物が燃えてしまったという場合(テレビ発火事件)。


被害者はその製造業者に対して損害賠償請求をできるだろうか。


契約違反(債務不履行)に基づく損害賠償をするには契約関係の存在が前提となるが (本文参照)、現代の流通では、製造業者と被害者(消費者)が直接の契約関係にあることは稀である。


他方、不法行為に基づく損害賠償をするには、被害者が製造業者の過失を証明しなければならず、それらの製品の設計·製造等において過失があったことの証明には、専門知識や、部外者には知りえない製造業者の内部事情についての情報も必要であり、困難がともなう。

 


しかし、消費者は大量生産される製品を購入するしか選択肢がないなかで被害を被っているのに対して、製造業者は製品の安全性を確保しやすい立場にあるばかりか利益をあげている。


そこで、製造業者は欠陥製品から生じた損害について責任を負うべきであり、それを認めやすくする製造物責任という考え方が世界的に広がっている。


わが国では、民法の特別法として製造物責任法が 1994年に成立している。


同法は、製造物の欠陥によって他人の生命、身体、財産に損害が生じた場合、製造業者等は被害者に損害賠償をする義務があるとする(3条)。


大事なのは、製造業者の責任の根拠が「過失」ではなくて「欠陥」ある製品(通常有すべき安全性を欠いている製品)を市場に送り出したことに求められている点であり、これは無過失責任立法のひとつである(欠陥責任などといわれる)。

 

もっとも、その製品を市場に出した時点の科学技術の水準では欠陥を認識できなかった場合にはメーカーは免責されるなど (開発危険の抗弁、4条1号)、過失責任の要素が完全になくなったわけではない。

 

下記の本を参考にしました。


『はじめての法律学』HとJの物語

  松井 茂記 他2名

  有斐閣アルマ