とがブログ

本の紹介と、ぼくの興味があるテーマについて書きます。

幸福の計算はできるのか

こんにちは。冨樫純です。


ある倫理的課題に対して、哲学者の見解も参考にして、ぼくなりの結論を書きます。

 

理由も書きたいと思います。


課題


幸福の計算はできるのか

 

結論


できない


理由


幸福は人により、時により、状況により変わるもので、各人の幸福(個人内比較)や多数の人の幸福(個人間比較)を加算することができない。


人口、金銭、エネルギー消費、食料としてのカロリー摂取量などは、加算できるが、「のびのびとした学校に通う幸福感」+「健康を維持する幸福感」+ 「社会に出て出世する幸福感」というような加算はできない。


加算ができるためには、あらゆる幸福に共通の要素が含まれていて、それが単位にならなければならない。


加算が可能であるためには、それぞれの価値が独立不変である必要があるだろう。


しかし、「食事の前のビール」と「食事の後のビール」では味が違うから、「食事+ビール」の加算は無意味である(マッキー「倫理学加藤尚武監訳、哲書房、一八五頁)。


一人の人生における幸福の分配の問題もある。


たとえ悲惨と幸福の量がそれぞれ等しくても、悲惨の後に幸福になる方が、幸福の後に悲惨になるよりも好ましいだろう。


下記の本を参考にしました。


『現代倫理学入門 』

   加藤 尚武著

   講談社学術文庫