とがブログ

本の紹介と、ぼくの興味があるテーマについて書きます。

男性の介護労働者

こんにちは。冨樫純です。


「男性の介護とケア労働者」についてのコラムを紹介します。


なぜ男性介護者が増えているのか、疑問に思いました。


男性の介護労働者には、介護に男性が携わる時代が訪れている。


在宅介護の担い手の4人に1人は男性になり、ホームへルプを職業として選ぶ男性も存在してきている。


しかし、そこには男性たちが経験してきた文化の功罪が見え隠れする。


高齢の妻が先に倒れたりすれば、子ども夫婦との別居が増えている現代社会において、夫たる男性が在宅で主介護者としてその任にあたる例が増えてきている。


夫は介護負担や慣れない家事に悩み、つきあいが狭まったり、ときには仕事を失う場合もあるが、夫婦の紳や責任感から介護を新たな生きがい、使命ととらえ、逆にのめり込みすぎることもあるとされる。


介護を通じて夫婦2人の紳を強固に感ずる夫にとって、介護サービス業者やボランティアが家庭に入ってくることで、妻の面倒をみる役割を奪われたと感じたり、さらに自分の存在価値に自信をなくすという声もある。


仕事に精魂をつぎこんでいた男性が、その注ぎ先を妻への介護に変えたとき、同じような余裕のなさが現れてしまうこともある。


ホームヘルバーの仕事へ進出する男性も出てきている。


長年女性の仕事と思われてきたため、近年、男性ヘルパーが増えてきたとはいえ、事業所内や訪問先家庭において抵抗感・違和感があることも否めない。


職場の同僚に男性が少ないため仕事の相談ができず、他方、給料や福利厚生の面での労働条件も手厚いとはいえない。


そのようななかでは、ホームヘルバーでいることが可能なの、定年退職後やリストラにあった中高年者、または新卒直後の若年者に二極分解し、やがて後者の若者は低賃金の前に挫折していくといわれる。


また、男性が在宅や社会福祉施設の現場の職員として増えてきたことで、これまで職員の男女比の関係で仕方のないこととされてきた、異性による身体介護の妥当性への注目も高くなってきている。


異性介護だと、入浴で身体をさらしたり、排泄するときの差恥心などがありえるので、可能なら同性介護が望ましいとされることになる(雇用問題研究会 2005)。

 

もちろん、女性が多い職場であることから、女性職員が男性利用者を介助する異性介護は確率的に多く起こるわけだが、そこには他者への身体接触をめぐって女性は許容され、男性がすると性的意味合いが付随してしまうというジェンダー差も潜在している。


他方で、介護報酬などの社会保障政策の構造的問題もあることから、やや楽観的ではあるが、社会福祉サービスの仕事へ男性が進出することによって、介護が職業であることの認識の深まりと労働環境の改善がなされる可能性があるという声もある。


家事の延長ではなく、専門性を有するという認識がそこに成立しつつあるわけだが、その認識の背景には、男性がするなら専門的戦業で、女性がするなら家事の延長という、 従来の性別役割分業があることも否めない(山口編 2006)。


下記の本を参考にしました


社会学

   新版 (New Liberal Arts Selection)

  長谷川 公一 他2名

  有斐閣