こんにちは。冨樫純です。
「エイジングの社会学」についてのコラムを紹介します。
高齢社会の中、そこに焦点に当てることは有意義なことだと思いました。
社会問題研究として始まった高齢者の社会学的研究は、2つの転換を経て、「エイジングの社会学」として展開してきている。
その1つの転換は、高齢者の生活の全体性への着目である。
たしかに高齢期にいたって、人は収入の減少や寝
たきり、痴呆などの身体間題を抱えることが多くなるのだが、つねにあらゆる高齢者がそれらの問題を抱えているわけではないし、問題を抱えていても人は喜怒哀楽をもって全体として生活していく。
高齢者を社会問題の対象として受動的にのみとらえるのではなく、高齢期に能動的に関わる人びととしてもとらえようとする視点が、1つの転換を呼び起こした。
もう1つの転換は、「老い」を全世代の普遍的な方向性ととらえることである。
私たちすべての人間は毎年少しずつ年齢を重ねていき、後戻りすることはできない。
人は生まれたときから死に向かってつねに老いている、すなわち「エイジング」(aging)しているわけであり、高齢期の問題はあるとしても、高齢者のみが老いるという過程に直面しているわけではない。
人間という存在は根源的に老いていくものであるという意味で、「ラディカルエイジング」 という
指摘がなされることもあり、もう1つの転換を支える視点となっている(小倉2006)。
エイジング研究は、高齢者や老人(the aged)だけの研究なのではなく、老いを現在進行形~ ing で経験している私たち自身へも視点を広げつつある。
エイジングの社会学は、中高年の生活や意識の全体像、それらと社会構造の相互関係を考察しつつ、人間存在と時間の問題を考察する領域となりつつあるのである。
下記の本を参考にしました
『社会学』
新版 (New Liberal Arts Selection)
長谷川 公一 他2名