とがブログ

本の紹介と、ぼくの興味があるテーマについて書きます。

大黒柱の根深さ

こんにちは。冨樫純です。


「家父長制と家制度」についてのコラムを紹介します。


現代でも、家庭に限らず、社会的にも男性優位であることに変わりない感じがします。


家族は、その内部において性と世代を編成原理とする集団である。


したがって、家族のなかでは、家族員の性と世代によって、各種の役割と権威が不均衡に配分されている。


最高の権威は年長の男性が握っていることが多く、それ以外の年少の男性と女性はその権威に従属することになる。


そのような支配=従属の関係が家父長制(patriarchy)と呼ばれるものになる。


ヨーロッパ古代·中世段階に起源をもつ「家父長制家族」は父の専制的権力のもと、結婚しても男の子は父の権限に服し、父の死とともに家族分裂となって、家産を分割相続していく家族形態をさしていた。


しかし、1970年代以降、家産の問題とは異なって、家族制度や社会制度の男性支配を批判するフェミニズムの主要概念としても家父長制は用いられるようになってきた(上野 1990)。


年長の男性の支配といえば、明治期以降の日本の 「家」制度が思い浮かび、それは家父長制家族の性質を有するものであったが、 他方、日本の 「家」 制度は家産を分割せず、一子による家督相続という特徴をもっていた。


その結果、家産を分与されない次、三男以下の他出によって彼らの世帯での核家族形成が促進された効果もあり、「家」制度の確立が意図せざる結果として、その外側に近代家族体制を創出したという考え方もある(上野 1994)。


また、現代日本において「家」制度の観念の衰退が目立ちつつあるとしても、家族内の役割分担や外部との公的な交渉責任などにおいて家父長制的な男性主導が残っていることも事実である。


その一方、家族の現実的な多くの場面を動かしているのは女性と子どもであるという様相もあり、家父長制をめぐるイデオロギーと現実、その日本的形態にはある種の幅があると考えられる。


下記の本を参考にしました


社会学

   新版 (New Liberal Arts Selection)

  長谷川 公一 他2名

  有斐閣