こんにちは。冨樫純です。
「公共性」についてのコラムを紹介します。
曖昧に感じていた「公共性」がわかりやすく整理されて、すっきりしました。
「公共性」という言葉は多義的に用いられる。
その多義性を整理する仕方もまた多様である(斎藤 2000)。
ここでは代表的な3つの意味をあげておこう。
第1には、見知らぬ人同士が居合わせる公共空間という意味である。
その対語は「親密空間」である。
第2には、異なる意見が出会い、討論を通じて世論形成が行われる言説の空間という意味である。
それは18世紀のフランスのサロンやイギリスのコーヒー·ハウスのような具体的な場所である場合もあるし、新聞やインターネットなどのようなメディアのなかの空間である場合もある。
この意味で使われる場合は 「公共圏」 といわれることもある。
この意味での「公共性」の対語は、異なる意見を排除し同質的な意見だけを許す「共同体」である。
第3には、国家·公権力に関係する公的なものとい
う意味である。
その対語は家族のような「私的領域」であったり、「市場」であったり、第2の意味の「公共性」であったりする。
このような「公共性」 という言葉の多義的な使い方の例をみてみよう。
賄賂や援助交際やストーカーとともに、電車のなかで携帯電話で話している女性がいるとすると、これらの不適切とされている行為が 「大人から子供までの徹底した「公共性」の喪失」 として一般化されている。
そして、この「「公共性」の喪失」 の原因が「戦後日本が「国家」 を否定し「公」の基準を見つけられぬままに、あらゆる共同体を否定して個人主義に向かっていった」ことに求められている。
下記の本を参考にしました
『社会学』
新版 (New Liberal Arts Selection)
長谷川 公一 他2名