こんにちは。冨樫純です。
「社会学って何?」についてのコラムを紹介します。
「社会秩序というものの存在に驚くセンス」という一節に面白さを感じました。
素朴な質問ほど答えにくいものはない。
社会学者を昔から悩ませてきた質問はこれである。
社会学を専攻する学生にとっても他人事ではないはずである。
家で「おまえは何を勉強しているんだ?」 と聞かれたり、就職面接で自分の専攻を説明しなければならなくなったり、この質問に答えなければならなくなる場面があるはずである。
よい答えを1つ紹介しておこう。
社会学そのものとは何か。
これは特に目新しい見解でもありませんが、社
会秩序というものの存在に驚くセンスといいますか、社会秩序というものがいろいろ破れ目はありながらも存在していることの不思議を問い続ける、という部分があれば社会学でありましょう。
社会秩序と大げさに呼ばなくても、本来見知らぬもの同士であった人々が、直接間接にかかわりあいながらなんとか生きている状態、と平たく言い換えてもよかろうかと思います(小川2005:25)。
社会学が対象とするのは「本来見知らぬもの同士であった人々が、直接、間接にかかわりあいながら生きている状態」である。これはジンメルのいう 「相互作用」である。
しかも 「なんとか」生きているのであり、そこにはかならず「破れ目」があるのである。
これは、デュルケムがいうように、社会は適切な
行為だけから成り立っているのではなく、社会にはかならず不適切な行為が含まれるということである。
小川はさらに続けて「そのような状態の正邪を判断する前に、とにかくこれを可能にしているしくみや価値や関係のあり方を眺めてまずは驚く」(小川 2005. 25)ことだという。
日本の社会学は良くも悪くも翻訳学問であった。
だが、翻訳を積み重ねてきた結果、ついにジンメルもデュルケムもウェーバーも使わないで、「社会学とは何か」という問いにこのような平易な日本語で答えられるところまで日本の社会学が到達していることをこの答えは示している。
下記の本を参考にしました
『社会学』
新版 (New Liberal Arts Selection)
長谷川 公一 他2名