こんにちは。冨樫純です。
「知覚的な矛盾と恐怖」についてのコラムを紹介します。
得体の知れないものに対する恐怖心の根拠が分かりました。
ヒトの年少児ではそれほど顕著ではないが、年長児から成人になるほど、たとえばヘビとか毛虫などへの恐怖反応が強くなる。
ヘップ(Hebb, 1972) によれば認知的機能の発達にしたがって、見慣れたものや、よく知っているものは、その見え方、あり方についての期待(先入観)が成立し、現実に知覚するものと、その期待とのあいだの食い違い、ないし、ずれが識別でき感知されるようになる。
そして、その知覚的矛盾が情動的混乱を引き起こして、恐れや異様感·気味の悪さのような情動をもたらす。
たとえば、生後半年頃のヒトの乳児に見られる 「人見知り」 や、成熟したチンパンジーにチンパンジーのデスマスクを示すと生じる恐怖反応がこれに当たる。
ヘップは皮膚の色の違いや価値観のわずかな違いに基づく偏見の背景にも、この知覚的な矛盾があると想定している。
下記の本を参考にしました
『心理学』第5版補訂版
鹿取 廣人 他2名