こんにちは。冨樫純です。
「動物の問題解決」についてのコラムを紹介します。
イメージ通り、チンパンジーは他の動物と比べて、知能が高いと思いました。
ゲシュタルト心理学派 のケーラー (Kōhler, 1917) は、動物の問題解決について、一種の知能テストを用いた一連の実験を行なった。
(1)回り道
目標の餌に直接近づく道が遮断されて、回り道が
必要とされる場面、ニワトリは、餌が見えるとその方向にまっすぐ進み、柵にぶつかるとその前を右往左往する。
偶然、柵の切れ目に達したときに餌にありつく、その解決のしかたは試行錯誤的である。
一方イヌは、はじめポカンとしているが、やがて急に後ろ向きに走りだし、なめらかな曲線を描きながら柵を迂回して餌に到達した。
ニワトリは、自分と目標との関係を理解していない。 これに対してイヌは、場面全体から自らの位置と柵との関係を認知して、問題解決を行なっている。
(2) 道具の使用
周囲を柵で囲まれ直接目標に達することも回り道も不可能だが、餌に結ばれたひもが柵の外まで伸びているとか、柵の中に長い棒があるというような場面で、自分と目標とを関連づける介在物としての道具を利用した行動ができるかどうかを見る。
ひも引きの課題の場合、チンパンジーは、目標の餌を見つめながらひもをそろそろ引いて餌を手に入れた。
しかしイヌは、ひもをくわえて引っ張ることができないわけではないが、あえて試みようとはしなかった。
天井から高い所に吊るされた餌を取るために、チンパンジーは箱を他の場所から餌の下まで引いて
いき、箱に登り、そこから餌に飛びっいた、 箱は 「踏み台」 の働きをしている。
(3) 道具の製作
適切な既成の道具が手に入らない状況を設けて、 動物自身が周囲にあるものに手を加えて、新たに道具を作り出す行動が出現するか否かを観察する。
1頭のチンパンジーが行なった棒つなぎ課題の解決の様子は、思考過程の特徴をよく表わしている。
まず2本の棒 (継ぎ竿のようにはめ込み式のもの)を柵の中に入れ、棒1本では届かない距離に餌を置いておくと、はじめ1本の棒を使って柵のあいだに入れるなどして懸命な努力をする。
また部屋の隅にある箱をもってくるが、これも役に立たない。
次に1本の棒を地面に置き、もう1本の棒でそれを
注意深く餌のほうに押しやって、棒の先端が餌
に届くようにする。
この試みも無効だとわかると、課題を放棄してしまう。しばらく棒をもてあそんでいるうちに、偶然2本の棒が一直線につながるのに気づき、はめ込むことができると、すぐさま立ち上がって柵のところに飛んでいき、餌を引き寄せた。
この例では、むだな模索的行動を解決の前に何度か行なった末、解決が突然現われる。はじめのうちは、1本の棒を使う。箱を用いるなど、むだな動作や「悪い誤り」をするが、やがて2本の棒を使って餌と棒の先端を接触させるとった解決へと導く「よい誤り」を行なうようになる。
こうした種々の模索的な行動の積み重ねが、やがて有効な解決を生み出すことになる、さらにケーラーは、チンパンジーが1つの箱では高さが足りないとき、多くの模索的な行動の末に、2つの箱を積み重ねることに成功した。
下記の本を参考にしました
『心理学』第5版補訂版
鹿取 廣人 他2名