こんにちは。冨樫純です。
「三角形の概念」についてのコラムを紹介します。
三角形という認識がなくても、分類できることに驚きました。
また、大人でも、初めて見るものは特徴を捉えようとすると思いました。
初歩的な意味での概念行動とは、種々の無関係な属性(たとえば大きさ、色など)の違いを無視して、その共通の特性 (たとえば三角性)に対応して一貫した行動を行なうことである。
ゲラーマン(Gellermann, 1933) は、チンパンジーとヒトの幼児 (2歳) に、白三角形と比較刺激として黒い四角形とを同時に示し、白三角形を選択させる弁別訓練をした。
チンパンジー、幼児ともこれに対にして、正しく三角形を選ぶことができた。
両者とも頭を60度ほど傾けて図形を見比べてから正しい反応を行なった。
ただし、小さい丸でできた三角形では、幼児はほとんど誤りなしに選ぶことができたが、チンパンジーは混乱して反応は50%のチャンスレベルに落ちたという。
幼児の場合、こうした課題では身ぶりやことばなど、シンボル行動を利用して形の弁別を行なっている。
1人の幼児は最初の試行で三角形の上の2辺を指でなぞりながら「これはAよ」 と言って選択した。
倒立三角形が提示されたときは、「A はどこ? クッキーがほしい」と言いつつ図形を見比べ、頭を傾けつつ見ていたが、突然「Aがあった!」と言って正しく反応した。
小丸の三角形が提示されたときはさしばらく見た後、「おかしなAね」と言いつつ選択を行った。
チンパンジーの場合、大きさ、色、向きなどの変化にかかわらず同じものとみなして反応する等価反応ができることから、原始的な三角形の概念をもっていると言ってもよいが、2歳児のもつ概念よりも限界がある。
2歳児では、「サンカク」のことばも知らず、その定義もできないという点では成人の三角形の概念とは異なっているが、チンパンジーの原始的概念よりもそれを抽象化、記号化している。
下記の本を参考にしました
『心理学』第5版補訂版
鹿取 廣人 他2名