とがブログ

本の紹介と、ぼくの興味があるテーマについて書きます。

内戦は増加している現実

こんにちは。冨樫純です。

 

「戦争の世紀」についてのコラムを紹介します。

 

ニュースなどを見ていると、たしかに、国家間の戦争はない印象がありますが、内戦はそうではないと感じます。

 

なぜなのか疑問に思います。

 

20世紀を振り返ると「戦争の世紀」 といわれたように、1世紀の間に、2度にわたる世界大戦のみならず多くの戦争が勃発した。

 

20世紀には、経済的生活水準、健康状況、教育の普及等において大いなる進展が見られたにもかかわらず、戦争は頻発し、多くの人々に甚大な被害がもたらされた。

 

1000人以上の死者を出した国家間の武力紛争を戦争と定義する研究によると、20世紀には実に約 250にも上る戦争が起こり、戦争に関連して1億人以上もの人々が亡くなった。

 

戦争をはじめとする軍事力をともなう紛争の回避は、国際関係で大きな課題となっている。

 

戦争の頻度を見ると、第二次世界大戦後、戦争はそれ以前よりも頻発している。

 

第二次大戦の惨禍がかつてないほど悲惨なものであったことを考えると、そのような悲惨な戦争も戦争自体を減少させることにはならなかったという事実に落胆させられる。

 

第二次大戦後、1997年までに142の戦争が勃発した。また、1950 年代には年平均の継続した戦争は11、60年代には15であったのに、90年代には 27となっている(Kane, 1995 ; SIPRI, 2000)。

 

この数字は、冷戦の終結によって国際関係における最大の懸念事項であった米ソ間の核戦争の可能性が低下し、武力紛争の減少が期待を持って語られたにもかかわらず、戦争が依然として勃発し、長期間継続していることを示している。

 

また冷戦後、戦争の当事者に変化が見られる。

1990年から 2000年までの11年間に56の大規模な武力紛争が生じているが、そのうち国家間の戦争は3つにすぎず、残りは内だった。

 

冷戦後、国家間の紛争は減少しているのに対し、内戦は増加している。

 

2001年9月11日、ニューヨークの世界貿易センタービルに旅客機を激突させた事件に代表されるように、非国家的な集団(テロ組織) が政治的な目的のために物理的な暴力を行使するテロリズムも頻発している。

 

さらに、大量破壊兵器の拡散も懸念されている。

 

イラクに対するアメリカの攻撃 (2003年) には、テロや大量破壊兵器の拡散の問題がかかわっている。

 

以上のように、冷戦後、人々の期待とは裏腹に武力紛争は減少しておらず、また、国家間の戦争に代表されていた武力紛争は、今や国家間に限らず多様化している。

 

下記の本を参考にしました

 

政治学』補訂版
 (NewLiberalArtsSelection)
 久米 郁男 他2名
 有斐閣