こんにちは。冨樫純です。
「中世から現代までの戦争」についてのコラムを紹介します。
昔の戦争は、何故長いのか疑問に思っていましたが、その理由がわかりました。
中世から現代までの戦争の変化を概観すると、中世においては有力貴族がそれぞれ封建領主として軍役義務をもつ臣下を召集して戦場にのぞみ、軍隊の主力は騎士·騎兵であった。
近世になると、火器の発達により、騎士は以前ほど重要性をもたず、むしろ砲兵と銃をもった歩兵が軍隊の主力となった。
歩兵が主力になるということは、戦争が数によって戦われたことを意味するが、当初、大量の人員を用意できたのは傭兵部隊であり、その後、常備軍が登場する。
貴族には大量の人員と装備をととのえることはできなかったので、国王の軍事力は諸侯を圧倒するようになり、絶対王政間の君主間の戦争のかたちをとった。
とはいえ、エ業化以前の段階での戦争では、鉄道によって兵力を集中して一気に勝敗を決することはできなかった。
また、18世紀までの軍隊はどれも規律がゆるく、兵士の脱走は日常茶飯事であった。
こうした事情で近世ヨーロッパの戦争は比較的長く(数年)続くものとなり、国家財政にかなりの負担を強いるものとなった。
これに対して、19世紀の戦争は、ナポレオン戦争をのぞくと、その多くが短期間でおわった。ロシア軍が寵城作戦にでたクリミア戦争やアメリカ合衆国最大の内乱である南北戦争は、例外的に長引いたが、数週間で戦闘が終わった。
プロイセン·オーストリア(普墳)戦争、開戦からわずか1カ月半後にナポレオン3世が捕虜となって勝敗が事実上決着したプロイセン·フランス(普仏)戦争などが、19世紀の戦争の典型である。
これらの戦争は19世紀末になって、対外膨張的帝国主義の台頭やバルカン半島の小国のナショナリズムの高揚などが重なりつつ、20世紀初めの第1次世界大戦へと集約されていく。
そして20世紀前半の2つの世界大戦を規定する 「総力戦」という戦争形態がうまれ、戦争の死者は1千万人から数千万に達した。
原子爆弾 (原爆)も使用され、人類の存亡を決定する可能性さえあらわれた。20世紀後半には冷戦、21世紀になってからは、 文明 宗教 民族の対立にもとづくテロや内戦という戦争へとその形態が変化している。