とがブログ

本の紹介と、ぼくの興味があるテーマについて書きます。

国際問題が解決されない理由

こんにちは。冨樫純です。

 

「国際関係の代理人」についてのコラムを紹介します。

 

国際問題が解決されない理由は、代理人的な存在がいないことにあるのではないかと思いました。

 

軍事紛争、金融危機、難民の発生などの問題が、国際関係において日々起こっている。

 

国際問題と呼ばれるこのような問題は、私たちの生活からはるかかなたの世界で起こっている場合も多い。

 

しかし、中東地域での紛争が原油価格に影響を与えたり、他国での金融危機が国際通貨体制を不安定にして円レートを高下させたり、国外において増加する感染症が人の往来によって国内でも生じたり、他国での環境汚染が酸性雨によって国内の自然に被害を与えたりと、はるかかなたの出来事が実際には私たちの生活にさまざまな影響を及ぼしている。

 

したがって、国際関係におけるさまざまな間題の解決は私たちの生活とは関係ないのではなく、むしろ重要なのである。

 

では、国際関係における問題の解決はどのように行われるのだろうか。

 

国際関係では、懸案の解決に国家間の協力が不可欠な場合が多い。

 

国家問の協力を達成することは難しいのだろうか。

 

近年、国際関係において重要な課題である地球温暖化問題を見てみよう。

 

1992(平成4)年の国連環境開発会議で、地球温暖化を防止するために 「気候変動に関する国際連合枠組み条約」が、予想以上の迅速さで150ヵ国以上もの国によって採択された。

 

しかし、温室効果ガスの排出規制のルールを国家が協力して作ることができると考えるのが楽観的に過ぎることは、枠組み条約の内容を具体化するために97年に開かれた第3回国連気候変動枠組み条約締約国会議 (京都会議)の紛糾と、2001年のアメリカ (最大の二酸化炭素排出国) の京都議定書からの離脱によって明らかになった。

 

各国は地球温暖化の防止という理念を共有できたとしても、現実には自国に不利益をもたらすような防止策に協力することは難しいのである。

 

では、環境汚染が国内で起こった場合の対応は、どのようなものだろうか。

 

車の排気ガスによる大気汚染が私たちの生活にとって解決すべき問題と認識されれば、大気汚染を防止するために排気ガス規制が政府や地方自治体によって策定され 白動車メーカーは、排気ガスの発生を抑えるエンジンの開発というコストを負担してでもその基準を満たす自動車を生産しなければならないだろう。

 

このように国内社会と国際関係における環境問題への対応を比較してみると、国内の大気汚染防止では、規制を作ったり、規制のルールが守られているかどうか、監視したりするという点において、政府の果たす役割が大きい。

 

他方、国際関係においては、国内の政府にあたるような、規制のルールを作って守らせる中央集権的な政府の存在は見当たらない。

 

国内社会では国民 (本人) が環境問題の解決を政府
(代理人)に任せるが、中央集権的な政府が存在しない国際関係では各国国民(本人)の利益はどのように集約され失実現されるのだろうか。

 

国際関係では、代理人はだれなのだろうか。

 

下記の本を参考にしました

 

政治学』補訂版
 (NewLiberalArtsSelection)
 久米 郁男 他2名
 有斐閣