とがブログ

本の紹介と、ぼくの興味があるテーマについて書きます。

コロナより大流行した黒死病

こんにちは。冨樫純です。

 

黒死病」についてのコラムを紹介します。

 

現代でも、このような病気で人口が3分の2になったらどうなるだろうかと考えると、コロナより恐ろしく感じます。


流行は主としてイタリアやイベリア半島などの地中海沿岸からはじまり、しだいに内陸部へと拡大していった。

 

人口の急激な減少は、都市の労働者の賃金を高騰させ、農村では領主の直営地経営を困難にして、農民の自立化と貨幣による地代の支払いをうながした。

 

領主のなかには地代を重くしたり、農民への抑圧を強めようとした者もいたが、一度地位を向上させた農民は激しく抵抗し、フランスのジャクリーの乱やイギリスのワット·タイラーの乱のような農民一換をひきおこすことになった。

 

また、ユダヤ人への襲撃事件が各地でおこった。ユダヤ人が井戸に毒を注いだのが原因であるとするデマが広がり、スイスやドイツの多くの都市では大虐殺により、ゲットー(ユダヤ人居住区)が消滅した。

 

さらに黒死病は、人びとの心性や死生観にも影響をあたえた。

 

中世末期の絵画には「死の舞路」とよばれる、グロテスクな骸骨たちが貴賊賞富や老若男女の区別なく人びとを死の世界へ誘う絵画があらわれた。

 

西ヨーロッパ社会は中世末期にあたる14~15世紀に、大きな危機と停滞の時代をむかえた。

 

14世紀初めには大規模な飢僅が西ヨーロッバ全域を襲い、14世紀なかばから15世紀なかばまで続いた英仏百年戦争は、戦場となった北フランスやフランドル地方を荒廃させた。

 

しかし、戦争以上に西ヨーロッパ社会に大きな打撃をあたえたのは、1346~50年に大流行し、その後も断続的に人びとをおそった黒死病(ベスト)であった。

 

このために、西ヨーロッパの人口はほぼ3分の2に減少した。

 

それでは、黒死病とはどんな病気だろうか。

 

いくつか種類があるが、もっとも頻度の高いのが腺ペストで、ベスト菌に感染したネズミ(おもにクマネズミ)の血をノミが吸い。

 

ついでノミが人の血を吸った結果、その刺し口から菌が侵入して感染する病気である。

 

死亡率は高く、感染すると皮膚が黒くなることから「黒死病」とよばれた。

 

伝染ルートは、14世紀なかばの大流行の場合、おそらく東方からもたらされたと考えられている。


下記の本を参考にしました。
 
『新 もういちど読む 山川世界史 』
「世界の歴史」編集委員会 (編集)
 山川出版社