こんにちは。冨樫純です。
「バットナムの社会関係資本論」についてのコラムを紹介します。
SNSが発達する前に提唱されていた理論で、社会問題を解決する手段として有効のようです。
社会関係資本とは、人々が持つ信頼関係や人間関係(社会的ネットワーク)のこと。
上下関係の厳しい垂直的人間関係でなく、平等主義的な、水平的人間関係を意味することが多い。
しかし、この語には実に多様な定義があり、以下のPortes (1998) の文献によれば、共同体や社会に関する全ての問題への、万能薬のように使われている言葉だが、1990年代終わりからは学会外でも社会的に有名な語となった。
R. パットナムの社会関係資本論は、市民社会に
存する集団がデモクラシーにおいて果たす役割を、経験的な手法で明らかにしたものといえるだろう。
パットナムは、1980年代から90年代におけるリベラル·デモクラシー陣営での自治の停滞、旧共産主義国家のデモクラシーへの移行、この双方の問題を視野に入れながら、民主的な制度がどのような条件の下で有効に機能するのかを、イタリアの地方政府の研究を素材として考察した。
その結論は、「調整された諸活動を活発にすることによって社会の効率性を改善できる、信頼、規範、ネットワークといった社会組織の特徴」 である社会関係資本を豊富に蓄積した市民社会と組み合わされてこそ、民主的な政府は積極的な参加や自発的な協力を得ることが可能となり、強化されるということであった。
自発的なスポーツ団体や文化団体がこうした社会関係資本の一例とされるが、大企業とは異なる集団で営まれる 「結社的な生活」の重要性が実証されたことで、デモクラシーを支える市民社会の存在はもはや無視できないものとなったのである。
下記の本を参考にしました
『現代政治理論』 新版
川崎 修 他1名
有斐閣アルマ