こんにちは。冨樫純です。
「カナダ多文化主義法」についてのコラムを紹介します。
アメリカは多民族国家なので、このような法則があっても不思議ではない感じがしますが、カナダにあることに少し驚きました。
カナダでは、多文化主義政策の推進を受けて、1988年に多文化主義法(CanadianMulticulturalism Act)が成立した。
その内容はいったいどのようなものなのだろうか。
カナダ多文化主義法前文では、「カナダ憲法は、すべての個人は法の前および法のもとに平等であり、差別されることなしに、法の平等な保護と利益に対する権利を有し……それらの権利と自由を男性と女性に等しく保障することを定めている」と、まず個人の人権の保障が定められている。
しかしすぐに続けて、「カナダ憲憲法は、カナダ人の多文化的遺産を維持し高揚することの重要性を認めて」おり、また、「カナダ憲法は、カナダの先住民の権利を認めている」と、多文化主義の意義が強調されている。
では、具体的にはどのような施策が行われるのか。
一つは言語の問題がある。
「カナダの公用語の地位と使用を強化する一方で、英語とフランス語以外の言語の使用を維持し、増進する」という条文からは、多文化主義と多言語主義の密接な結びつきが理解できる。
また、雇用については、「すべての起源のカナダ人が、これらの連邦機関で雇用と地位向上を得るための平等の機会をもつことを確保する」と定められた。
そのほか、「カナダ多文化主義に関する調査に着手し、援助し、またこの分野での学術を育成する」 という調査研究を定めた規定も存在している(西川ほか編, 1997)。
多文化主義には各国の国内事情によってさまざまなバリエーションがあるが、法律や判決文等の比較により、そうした事情が具体的な施策にどれほどの違いをもたらしているかを検討することもまた興味深い。
下記の本を参考にしました
『現代政治理論』 新版
川崎 修 他1名
有斐閣アルマ