とがブログ

本の紹介と、ぼくの興味があるテーマについて書きます。

相続税の目的

こんにちは。冨樫純です。

 


独学で法哲学を学んでいます。

 


そこから、関心のある法哲学的問題を取り上げて紹介したいと思います。

 


感想も書きたいと思います。

 


問題 相続税は何のためか?

 


相続税の存在理由は、金持ちに富が集中することを抑え、家族による格差が世代を超えて引き継がれるのを妨げることにあると言われる。

 


金持ちの家に生まれた子は一生金持ちで、貧しい家に生まれた子は貧困から抜け出せないのは不公正というのだ。

 


しかし、もし家族格差が本当に不公正で是正されるべきだとしたら、2015年の増税以後の現状でもまだ相続税は低すぎるということになるだろう。

 


むしろく豊かな家に生まれるか貧しい家に生まれるかは、自分の選択や努力によってはどうにもならない、本人に責任のない事情なのだから、その相違によって貧富の差が生ずるのは不正だと平等主義的に考えるならば、相続制度を一切廃止して遺産はすべて政府が没収すべきだ、あるいは相続税を大幅に増税すべきだ、という結論に至るのが自然だ。

 


もっとも相続が発生する以前、親が生きている間も家族格差は厳然と存在していて、例えば生活水準も文化的環境も教育費も大幅に違うのだから、もし原理主義的に家族格差をなくそうとしたら、家族制度自体の廃止とキブツのような共同体全体による公的子育てを唱えるべきだが、そこまで言う人は『国家』におけるプラトン(の代弁者ソクラテス)以外には多くない(ただし現代の一夫一婦制家族批判としてMcMurty 2000を参照)。

 

 

 

家族制度は家族格差という不公正を補って余りある意義を持っていると考えられるからだろう。

 


感想

 


格差や不平等は、減らすことはできても、全く無くすことはできないと改めて思いました。

 


下記の本を参考にしました


『問いかける法哲学

   瀧川 裕英著

 法律文化社