とがブログ

本の紹介と、ぼくの興味があるテーマについて書きます。

電子民主主義は可能か?

こんにちは。冨樫純です。

 


独学で、社会学を学んでいます。

 


そこから、個人的に関心のある話題を取り上げて、紹介したいと思います。

 


感想も書きたいと思います。

 


話題  電子民主主義は可能か?

 


1990年代以降のインターネットという新しいメディアの出現は、市民がマスメディアから自律的に意見を表明し、公共の議論に参加する可能性を開きました。

 


市民がコンピュータ・ネットワークを通じて連帯する「ネットワーク公共性」とでも呼ぶべき自律的な公共性が可能になったのです

(干川剛史「自律的公共性への構造転換に向けて」『社会学評論』四五(三))。

 


中央集中的なマスメディアが大量の画一的情報を大衆に向けて一方的に発信するのに対して、インターネットに代表されるコンピュータ・ネットワークは双方向的・多方向的な性格をもつがゆえに、市民による自由な意見の表明による世論形成が可能になります。

 


いわゆる「電子民主主義」の可能性です。

 


社会学者の吉田純は、インターネット空間における公共性の実現と電子民主主義の可能性について、ハーバーマスの議論を踏まえて論じています(吉田純「インターネット空間の社会学世界思想社)。

 


それによると、ハーバーマスが公共性成立のため

の3つの条件としたもの―平等性・公開性・自律性―は、インターネット空間で十分に成立しているといいます。

 


まず平等性については、インターネット空間が基本的に既存の社会的属性―性別や年齢、職業など―から自由なコミュニケーション参加を可能にしているという点で確保されています。

 


マスメディアではアクター(メディアに登場する著名人)とオーディエンス(視聴者)の間に役割分化とくに上下関係がみられますが、インターネットではコミュニケーション参加者は平等です。

 


次に、公開性に関しては、インターネット空間への参加には一定のコンピュータ・リテラシーが必要となりますが、それ以外にはコミュニケーションへの参加を制約する条件は存在しません。

 


最後に自律性についてみれば、インターネット空間がそれ自体のなかから共有すべき規範を作り出すという点で、自己言及性をもっています。

 


すなわち、インターネットのさまざまな規格や規約をユーザー自身の提案にもとづいて定めていくことができることです。

 


津田大介(『動員の革命』中公新書ラクレ)によると、2011年の東日本大震災の際も、ソーシャル・メディアユーザー同士がつながって双方向的に情報を提供・編集できるインターネット上のサービス(SNS、ブログなど)、いわばフロー型のインターネット・サービスが効果を発揮したといいます。

 


たとえば、テレビでは原発関連の記者会見の部分しか中継されませんでしたが、ソーシャル・メディア(ユーストリームなど)では、質疑応答の部分まで流していたそうです。

 


感想

 


インターネットの登場により、電子民主主義の可能性はがありそうだと感じました。

 


下記の本を参考にしました

 


『ライフイベントの社会学

   片瀬 一男著

 世界思想社