こんにちは。冨樫純です。
「官僚制」についてのコラムを紹介します。
ぼくのイメージでは、官僚制は行政組織だけに限定されていましたが、そうではないことが分かりました。
官僚制(bureaucracy) という言葉は、もともと官房 (bureau) の支配(-cracy)という語源から造語された、官吏による支配、官僚支配をさす言葉であり、通例そこには非難の意味が色濃く含まれていた。
現代政治学の官僚制概念に決定的影響を与えたウェーバーは、近代的官僚制を、規則に定められた権限に基づいて業務が行われ、指揮命令系統に一元的なヒエラルヒーが確立されていることや、官職の私物化、世襲や売官が禁止されていることなどによって特徴づけている。
こうした官僚制像には、かつての非難の要素はみられず、むしろ官僚制は、行政組織としては他のあらゆるかたちに比べて、正確性、迅速性、継続性などにおいて優れ、その普及は機械による生産の普及に類比されている。
つまり官僚制は近代を特色づける合理性を体現しているというのである。
さらに、官僚制は国家の行政組織に限られた現象
ではなく、社会のいたるところに見出されるものであり、それどころか、近代資本主義の企業こそが厳格な官僚制的組織の模範だとされ、資本主義の発展こそが近代的官僚制の普及を必要としたとされている。
ただし他方で、ウェーバーは、こうした合理化、官僚制化の進展が「精神のない専門人」の蔓延を招き、ひいては社会の閉塞と化石化をもたらすことへの危倶をしばしば表明している。
また彼は、現実政治を論じる中では、当時 (第2帝政) のドイツにおける官僚支配の政治を痛烈に批判している。
現代の官僚制論においても、官僚制が行政組織としてその機能を十分に果たしつつ、官僚支配の弊害をどうすれば回避できるのかという問題が、政治 (議会や選挙で選ばれた政治家、政党)と行政 (官険制)との役割分担をどうするかという問題として、あらためて問われている。
下記の本を参考にしました
『現代政治理論』 新版
川崎 修 他1名
有斐閣アルマ