こんにちは。冨樫純です。
「遊牧民の生活と文化」についてのコラムを紹介します。
遊牧民が作った国家はないと思っていましたが、ぼくの思い込みだったと気づかされました。
草原の遊牧民は、中国の約2倍の土地に住み人口は40分1にすぎない。
水資源が乏しい草原では農業はできず、馬や羊の飼育が経済をささえている。
農業地やオアシスの定住民との交易で自給のために最低必要な穀物·織物·茶·武器の材料などが手にはいれば、彼らの生活は成り立つ。
この世界では都市は育たず、文字や文学の発達もかぎられ、精神面ではシャーマニズムという天地万物の精霊への信仰が彼らの世界観の底にあった。
遊牧民は、羊皮で上着やズボンをつくり、羊肉を食べ、馬乳や羊乳でチーズやバターをつくり、馬を放牧や交通·戦争に使った。
動物こそは衣食住の貴重な資源であり、基本財産である馬や羊を養うために、 組立て式のテント(ゲル)をたずさえて夏営地と冬営地のあいだを定期的に移動し、同一祖先の家族集団(氏族) が共同生活をおこなった。
この巡回移動をめぐって草地の使用の権利がうまれ、秩序をあたえる首長が求められた。
不安定な経済にゆとりをもたらすために、首長は商業の増大と軍事の拡張をめざした。
もともと自立性と適応力に富む草原の民は、こうした首長のもとで日常の社会組織と緊急の軍事組織を結びつけた部族社会組織をつくりだし、これらが連合統一して遊牧国家がうまれた。
鉄あぶみと強い弓矢をそなえる草原の騎兵は、15世紀に火器が登場するまで戦闘で猛威をふるい、一方、中国などから行政技術を吸収していくつかの大帝国(旬奴、鮮卑、柔然、突廠、ウイグルなど)をつくった。
下記の本を参考にしました。
『新 もういちど読む 山川世界史 』
「世界の歴史」編集委員会 (編集)
山川出版社