こんにちは。冨樫純です。
「奴隷制度」についてのコラムを紹介します。
現代では、奴隷制は人権を軽視したものとして、否定的に捉えられるが、歴史的には、必要とされていた時期があったんだと感じます。
オリエントでは、 おもに王宮や神殿が奴隷を所有していたが、前5~前4世紀のギリシアや前3~後2世紀のローマは、社会全般に奴隷が労働力として使われ、一般市民も奴隷を所有したことから、奴隷制社会の典型とされている。
スパルタの場合は、先住民を征服してヘロットとよばれる奴隷身分の農民とした。
スパルタが軍国主義体制を維持した背景には、 この多数のヘロットの存在への危機感があった。
ローマの場合は、通常の家内奴隷ほか、剣闘士といった生死をかけた見世物も行われた。
興味深いのは「万物の尺度は人間である」として相対主義を主張したソフィストたちが「奴隷制は人間性に反する」として奴隷制度を批判したのに対し、偉大な哲学者として知られるアリストテレスは「奴隷は一種の生命ある所有物であり、すべて下僕というのは道具に先立つ道具といったものだ」として奴隷制を擁護している。
奴隷の具体例では、ギリシアのボリスで奴隷とされたのたケース、さらにシチリアやイタリア半島ではラティフンディア (大農場経営)において苛酷な農業労働に従事させられるケース、高度な知的労働、たとえば教師や会計計士医師などの仕事に従事するケースなどがあった。
一般的に古代ローマの奴隷所有者は、善意をふくめたさまざまな理由によって奴隷を解放するのに前向きで、帝政時代の全人口のおよそ5%を解放奴隷が占めていたといわれる。
3世紀以降になると、もともとシチリアやイタリア半島以外の地域では、小作人を用いた農業が早くから広範囲におこなわれていたこともあって、イタリアの大農場でも奴隷制から小作制に切りかえられた。
下記の本を参考にしました。
『新 もういちど読む 山川世界史 』
「世界の歴史」編集委員会 (編集)
山川出版社