とがブログ

本の紹介と、ぼくの興味があるテーマについて書きます。

ルイ16世の2面性

こんにちは。冨樫純です。

 

ルイ16世の知られざる素顔」についてのコラムを紹介します。

 

このコラムを読んで、こんなにも違ったイメージがあることに驚きました。

 

よく考えてみると、人間いろんな側面があって当然だと思いますし、発見されたものが、たまたまマイナスイメージのものばかりだったのではないかとも思いました。

 

ルイ16世は、相反する二つのイメージをもっている。

 

一般的なイメージは、あまり良くない。

 

若妻マリーアントワネットの浪費癖をおさえることができず、7年間も跡継ぎの子どもをつくれず、鍛治仕事に精をだして錠前づくりに熱中し、馬に乗ってへとへとになるまで鹿を追いまわして狩猟の毎日を過ごす。

 

肥満体型で、かつ内向的、決断力がなく、お人好しで気弱。

 

それゆえにフランス革命の激動の嵐のなかで有効な決断と行動ができなかった国王。

 

さらにフンス革命の象徴的事件である1789年7月14日におこったバスティーユ牢獄の攻撃と陥落に際して、その晩のルイの日記には「(狩りの獲物は) なにもなかった」と記したその感覚。

 

陥落の情報を聞いたときも「ただの暴動であろう」と声をあげたため、「陛下、革命でございます」といいかえされたエピソードなどなど、 ルイ16世の負のイメージは決定的なようにみえる。

 

ところが最近の研究では、まったく異なったルイ16世像が提示されている。

 

ルイ16世は、重農主義者で開明的なテュルゴ君主制を維持しつつ、行政機構の一新をめざしたカロンヌ、国庫収入の改善を図り、三部会の開催に深く関わったネッケルらを登用して本格的な体制内改革に乗りだし、特権身分への課税をこころみて税制上の平等を実現しようとした改革派であったこと。

 

王制を採用するフランスとは本来対立関係にあるはずの共和政国家の樹立をめざしたアメリカ独立戦争へ全面的な支援を決断したこと。

 

英語 ・イタリア語・ドイツ語を学び、英字新聞を毎日読み、蔵書のなかには多くの英語文献があって、ギボン作「ローマ帝国衰亡史」の最初の3巻を翻訳し、「百科全書」など啓蒙思想家の著作も所有して読書家であること。

 

精密で正確な作業を必要とする錠前づくりへの熱情を示したすぐれた技術屋であったこと。

 

拷問や農奴制を廃止し、プロテスタントユダヤ人の同化政策などを進めて人権思想への一定の理解を示した進歩的で民主的な性格をもっていたこと。

 

科学や地理探検にも興味を示して、援助し、ラベルーズらの科学調査隊を太平洋方面に送りこんだこと。

 

節約に熱心で、浮いたお金を最貧民に配る優しさなどなど、ルイの「良き王」「進歩的な王」としての側面である。


下記の本を参考にしました。
 
『新 もういちど読む 山川世界史 』
「世界の歴史」編集委員会 (編集)
 山川出版社